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【リスタート・東京五輪】5年がかりで開発!桐生愛用ピンなしスパイク ベスト更新へ、1年延期でさらなる進化を

【リスタート・東京五輪】

5年がかりで開発!桐生愛用ピンなしスパイク ベスト更新へ、1年延期でさらなる進化を

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リスタート・東京五輪
来年の東京五輪で活躍が期待される桐生。“ピンなし”スパイクを武器にタイムを縮める

来年の東京五輪で活躍が期待される桐生。“ピンなし”スパイクを武器にタイムを縮める【拡大】

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、来夏に延期された東京五輪に関連する事象を取り上げる連載“特別編”のテーマは「メーカーの努力」。アシックスは陸上男子100メートル前日本記録保持者の桐生祥秀(24)=日本生命=も愛用する“ピンなし”スパイクを約5年がかりで開発した。五輪の延期をプラスに捉え、従来の常識を覆した一足のさらなる可能性を追求する。(取材構成・鈴木智紘)

 モノづくりに終わりはない。五輪の延期を受け、アシックスの次なる挑戦が幕を開けた。約5年がかりで手掛けた“ピンなし”スパイク「メタスプリント」。同社スポーツ工学研究所フットウエア設計技術開発チームの高島慎吾さん(33)は、進化の可能性を見いだしている。

 「1年あれば結構ブラッシュアップできます」

 トップスプリンターは100分の1秒、距離にして10センチの世界で記録を競う。靴底の金属ピンがトラックに刺さり、抜ける時間すらもったいない-。そんな選手の声からメタスプリントは生まれた。

 ピンがない代わりに、ふじつぼのような突起がある。従来の姿とかけ離れた形状は、足裏全体で地面を捉えて推進力につなげたいという桐生の意向で実現。点ではなく面で接地し、反発を得る狙いがある。

 靴底全体の素材はカーボン。髪の毛よりも細い繊維を突起の先端まで密集させ、耐久性を生み出している。形にするのは困難で、開発当初は10回製作を試みて成功はたった1回だったという。試作品が完成した2018年、選手に提供した5足は全て壊れて返ってきた。トライ&エラーを重ねて出来上がった突起が、今後の伸びしろでもある。

 「本当にこの高さで適切か、(五輪までに)一つ一つ見直せる。コンマ何ミリのレベルで」と高島さん。突起の長さは均等ではない。形も異なり、円柱型があれば竹やり状のものもある。足の接地角度に応じ、効率良く地面に力が伝わる立体構造としたのが特長だ。

 アシックスは今年1月、約40人の学生選手に試作品を履かせて60メートルのタイムを測る実証実験を行った。それまでに開発したものと比べ、1秒当たり6・7センチ前進する結果が出たという。100メートルの換算で、0・048秒先行する。突起の改良が進めば、さらなる記録の向上も夢ではない。

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