2019.12.8 05:00

【佐野稔の舞評論】男を見せた羽生“攻めの構成”

【佐野稔の舞評論】

男を見せた羽生“攻めの構成”

特集:
羽生結弦
男子で2位となり、日の丸を手にする羽生結弦=トリノ(共同)

男子で2位となり、日の丸を手にする羽生結弦=トリノ(共同)【拡大】

 フィギュアスケート・GPファイナル最終日(7日、トリノ)羽生が最後に予定していた2連続のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ、3A)が1Aの単発になった。仮に跳べていたとしても、点数はチェンに届かなかった。

 SPの12・95点差も大きく、自分がノーミスの演技をしたとしても、チェンがミスをしない限り勝機がないことを羽生は分かっていただろう。そんな崖っぷちの状況で、約2年ぶりに組み込んだ4回転ルッツを跳び、4回転を5本跳ぶ構成で攻めた。「俺は羽生結弦だ」というものを見せたし、男を見せたと感じた。

 チェンは大きなミスがなく、あえて言うならば4回転トーループ-1オイラー-3回転サルコーにしたかったところを3回転フリップで逃げたぐらい。2018年平昌冬季五輪から4回転ジャンプ5本の構成が跳べる状態だっただけに、羽生に比べて体力的な面でも全く問題なかった。

 次戦以降、羽生がこの日のチェンの得点を上回るには、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ、4A)が必要不可欠だ。チェンも練習をしているだろうから、フリーで4Aを2本、この日跳んだ4回転ルッツ、ループ、サルコー、トーループに3Aを加えたジャンプ構成でなければ勝てない。それは本人が一番自覚しているだろう。 (1976年インスブルック冬季五輪代表)