2019.12.7 05:01

【佐野稔の舞評論】羽生、連続ジャンプ失敗が大差の要因

【佐野稔の舞評論】

羽生、連続ジャンプ失敗が大差の要因

特集:
羽生結弦

 フィギュアスケート・GPファイナル第1日(5日=日本時間6日、イタリア・トリノ)3本(ソロ、コンビネーション、アクセル)しかジャンプのないSPでミスは許されない。2位にとどまった羽生は、4回転-3回転の2連続トーループを連続技にできなかったことが、チェンに12・95点の大差をつけられた要因だ。

 一昨年までチェンはトリプルアクセル(3回転半ジャンプ、3A)を苦手にしていたが、それを克服したようだ。チェンの4回転ルッツと羽生の4回転サルコーや、二人の3Aの得点をそれぞれ合計するとそう差はない。羽生はコンビネーションジャンプさえ成功していれば、演技点もあと1・5点は伸びている。110点台の勝負になっていたはずだ。

 12・95点は大差だし、チェン陣営は羽生が完璧な演技をしたときの得点を逆算し、無理のない演技構成に変えてくるだろう。チェンは重圧から解放され、楽に滑ることができる。羽生は崖っぷちの状況にある。

 フリーでの逆転の鍵は、4回転ルッツを入れず、これまでの構成で完璧な演技をし、出来栄え点を稼ぐことだと思う。4回転ルッツを入れてその他のジャンプもミスなく滑れる自信があるのならいいが、私は賭けに出るのではなく、今までの構成をミスなく完璧に滑ることで勝機があるとみる。

 また、トリノ入りしてからのコメントを聞く限り、いつもより気分が高揚しているようにみえる。その気持ちを平常心に戻すことも必要になる。 (1976年インスブルック五輪代表)