11月にヘリから撮影された新国立競技場。整備された高速トラックがみえる【拡大】
2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場(東京・新宿区)が30日に完成し、建設した共同事業体から事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)に引き渡される。整備費膨張による白紙撤回をへて16年12月に着工、工期36カ月という急ピッチで建設された新たな聖地。記録の出やすい高速トラックや世界最高水準のユニバーサルデザイン(全ての人のためのデザイン)、暑さ対策が施された日本スポーツ界のシンボルを紹介する。
新国立競技場は、心臓部といえる走路にイタリア・モンド社製の“高速トラック”を採用した。2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ両大会の進化形で、世界新記録や日本新記録の量産が期待される。
一般的なポリウレタン製トラックに対し、同社はゴム製。接地時の安定感と、推進力を得やすい優れた反発力が特徴だ。
高速の秘密は構造にある。同社製品を日本で代理販売するクリヤマ(本社・大阪市)の担当者によると、表面と裏面の二重構造になっており、裏面は蜂の巣のような六角形が並んだハニカム構造。この六角形が着地時の衝撃をため込み、足が踏み込まれて離れようとする際には押し出してくれる。
衝撃を受けて沈む速度と、元に戻る速度がほぼ同じため、衝撃をやわらげて足腰への負担を減らしつつ、強い推進力を得られる。裏面の構造は格子状の四角から、ロンドン五輪で六角形を採用、どの方向からの衝撃も吸収するように進化した。