2019.9.30 05:02

元稀勢、涙の断髪式 最後の土俵入りで初披露と同じミス

元稀勢、涙の断髪式 最後の土俵入りで初披露と同じミス

特集:
稀勢の里
稀勢の里は田子ノ浦親方の止めばさみで大銀杏を切り落とされた(撮影・尾崎修二)

稀勢の里は田子ノ浦親方の止めばさみで大銀杏を切り落とされた(撮影・尾崎修二)【拡大】

 大相撲の元横綱稀勢の里の荒磯親方(33)は29日、東京・墨田区の両国国技館で引退相撲を催し、断髪式では好敵手だった横綱白鵬(34)、元横綱日馬富士(35)ら約300人がはさみを入れ、最後は師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)の止めばさみで大銀杏(おおいちょう)を切り落とし、17年間の力士生活に別れを告げた。「力士を卒業」と表現し、指導者として名実ともに新たな一歩を踏み出した。

 期せずして「稀勢の里コール」が館内に沸き起こる。目を閉じた荒磯親方の背筋が伸びた。

 「(この声援に)何番も助けられた…」

 平成29年初場所後、19年ぶりに誕生した国内出身横綱。大関時代からのライバルだったモンゴル出身の白鵬、日馬富士と相対した。2人にはさみを入れられると「一緒に闘ってきた仲間。こみあげてくるものがあった」。そして、父・萩原貞彦さん(73)のはさみで涙腺が緩む。右手の親指で右目、左目に浮かんだ涙を弾いた。

 1月の初場所限りで引退し、大銀杏を結った最後の横綱土俵入り。深く腰を割ってせり上がり、2度目の四股を踏むときだった。右腕を横に広げた際、左足を右足に寄せる所作が遅れた。平成29年1月、新横綱として臨んだ推挙式と奉納土俵入りが東京・明治神宮で行われた。初めて披露された土俵入りでもこの左足を寄せる所作を忘れた。荒磯親方は「くしくも同じミス。最初と最後が同じ。初心に戻ったよ」と苦笑いを浮かべた。

 この日は入門から指導を受けた先代師匠、故鳴戸親方(元横綱隆の里)の誕生日。先代の教えは「逃げず、正々堂々とやり続ける」。新たなステージへ。親方としても完全燃焼する。(奥村展也)

最後の土俵入りで本場所同様に太刀持ちを務めた高安「武者震いがした。自分の基礎、基盤になったのが稀勢の里関の相撲に対する姿勢。いつか自分でも土俵入りができたら幸せ」

平成22年九州場所2日目、当時平幕の稀勢の里に連勝を「63」で止められた白鵬「あれがあったから今がある。今度は弟子たちの闘いで、相撲道に恩返ししたいね」

  • 稀勢の里は断髪式を終え、髪を整えてもらう。多数のカメラを前に笑みがこぼれた(撮影・尾崎修二)
  • “最後の土俵入り”を務める元横綱稀勢の里の荒磯親方=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 断髪式後、国技館内の茶屋にあいさつして回る元横綱稀勢の里の荒磯親方=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 断髪式で涙を拭う元横綱稀勢の里の荒磯親方=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 父親の萩原貞彦さんからはさみを入れられる元横綱稀勢の里の荒磯親方=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 元横綱稀勢の里の荒磯親方の断髪式に参列した中畑清氏=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 元横綱稀勢の里の荒磯親方の断髪式に参列した細川たかし=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 断髪式の最後に、田子ノ浦親方から大銀杏にはさみを入れられた元横綱稀勢の里の荒磯親方=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 元横綱稀勢の里の荒磯親方の断髪式に参列した花田虎上氏=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 元横綱稀勢の里の荒磯親方の断髪式に参列した小林祥晃氏=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 断髪式で横綱白鵬に声を掛けられた元横綱稀勢の里の荒磯親方=両国国技館(撮影・尾崎修二)
  • 断髪式の最後に、田子ノ浦親方からとめばさみを入れられ、表情を引き締める元横綱稀勢の里の荒磯親方=両国国技館(撮影・尾崎修二)