2019.8.12 13:36

【すぐそばに東京五輪(3)】酷暑の祭典対策は万全? 今一度アスリートの声に耳を

【すぐそばに東京五輪(3)】

酷暑の祭典対策は万全? 今一度アスリートの声に耳を

特集:
すぐそばに東京五輪
8日に北海道千歳市での合宿を公開した鈴木雄介(右)と山西利和。東京五輪での競歩は酷暑が懸念されている

8日に北海道千歳市での合宿を公開した鈴木雄介(右)と山西利和。東京五輪での競歩は酷暑が懸念されている【拡大】

 走り終えて間もなく、500ミリリットルのペットボトルを飲み干したほどのどが渇いていた。東京五輪の男子マラソンまで1年となった9日、競技が行われる時間帯にコースを試走した。号砲が鳴る午前6時の気温は28度ほどながら、ゴールが見込まれる同8時半前には31度超に。上り基調の最後の6キロに絞って走っただけでも、パンツまでびしょぬれになるほどの発汗量。選手はこれを42・195キロ走るのかと思うと、ぞっとした。

 「選手はもちろん、観客にも酷なこと」

 マラソンと同様に酷暑のレースが懸念される競歩でメダル候補の鈴木雄介は、炎天下の開催に警鐘を鳴らす。競技は二重橋前を発着点とした皇居外苑部分の周回路で行われる。鈴木が本命とする50キロは暑さ対策で午前5時半に始まる。7月末の早朝にコースを試走した20キロの世界記録保持者は「日陰がない。脱水になる可能性も大いにある。可能なら(コースを)再考してほしい」と本音を吐露した。

 第一人者の言葉は、人ごとに思えなかった。カヌーの五輪会場となる東京・江戸川区のカヌー・スラロームセンターでの取材で、暑さでダウンした報道陣を目の当たりにしたからだ。猛烈な日差しにさらされた4日の昼下がり。気温は体感で35度ほどあっただろうか。件の男性は日陰で横になって休み、大事には至らなかった。安堵(あんど)の一方で明日はわが身と感じた。

 マラソンランナーも競歩選手も、酷暑でのレースに備えて暑熱対策を進めている。一方、東京都は大会組織委員会と連係し、路面の温度上昇を抑える特殊な舗装整備などの対策を練っている。選手、そして応援する観客があってこその五輪。今一度アスリートの声に耳を傾けたい。(鈴木智紘)