2019.1.20 05:00

【涙の引退 稀勢の里(下)】革新的な指導で相撲界担う“第二の人生”

【涙の引退 稀勢の里(下)】

革新的な指導で相撲界担う“第二の人生”

特集:
稀勢の里

 無念のまま現役を引退した元稀勢の里には、荒磯親方として第二の人生にも大きな期待が寄せられる。数年後には独立する意向で、関係者によると東京・江東区などに部屋候補地があるという。

 引退会見で「稽古場での思い出が多い」と話したように、稽古に対するこだわりは強い。思い描く指導法も革新的で「稽古は朝だけでなく、夜との2部制にすれば量は2倍に増える。疲れ切った若い衆も夜に出歩かなくなり、休養十分で翌朝の稽古を迎えられる」との構想を描いている。

 他にも「ちゃんこ番をする時間があれば稽古を」と説き、調理師が寮で食事面を担当するプロ野球など他競技の環境面を参考にする。「何のために力士になったのか。強くなるためだ」と自身の信条を伝える方針だ。

 昨秋の貴乃花親方(元横綱)の退職により、現在の日本相撲協会には元横綱の親方はわずか5人。32歳と若い荒磯親方には相撲界の将来を担う役割も託される。早くも30代の若手親方たちからは「稀勢の里の必死な姿をみんなが知っている。どんなことでも協力したい」との声が相次いでいる。

 荒磯親方は大関時代から読書を重視し、小説や歴史書、自己啓発本などジャンルは幅広い。勝負に生かす思いと同時に「まだまだ先だけど、親方になったときに何かの参考になればいい。相撲の歴史や在り方も勉強しなければ」と言っていた。引退の時期は予想以上に早く訪れたが、「相撲人」としての愚直な歩みは止まらない。 =おわり