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【平成の真実(30)】平成20年11月2日「天皇賞・秋 世紀の大接戦」

【平成の真実(30)】

平成20年11月2日「天皇賞・秋 世紀の大接戦」

特集:
平成の真実
競馬史に残る名勝負となった平成20年の天皇賞・秋。逃げるダイワスカーレット(右)にウオッカ(左)が襲いかかり、ほぼ同時にゴールに飛び込んだ

競馬史に残る名勝負となった平成20年の天皇賞・秋。逃げるダイワスカーレット(右)にウオッカ(左)が襲いかかり、ほぼ同時にゴールに飛び込んだ【拡大】

 平成20(2008)年11月2日、東京競馬場で競馬史に残る名勝負が繰り広げられた。天皇賞・秋で人気を分け合ったウオッカとダイワスカーレット、2頭の牝馬が牡馬勢を差し置いて大接戦のフィニッシュ。実に13分間に及んだ写真判定の末、ウオッカに軍配が上がった。騎乗した武豊(49)ら関係者が、平成を彩った名牝2頭の死闘を振り返る。 (取材構成・漆山貴禎)

 平成20年。秋晴れの空の下で行われた古馬の頂上決戦は、同世代の牝馬2頭による壮絶な争いとなった。当時、GI3勝のダイワスカーレットが逃げ粘るところへ、外からGI3勝のウオッカが襲いかかってゴール。肉眼で、勝負の結末を判断するのは困難だった。

 だが、ウオッカの武豊は、敗戦を覚悟したダイワスカーレットの安藤勝己に声をかけられたという。「少し有利な体勢かなとは思っていました。安藤さんも『(ウオッカが)勝ってる』と言ってくれましたし」とレース直後を思い出す。

 史上に残る名勝負に、ウイニングランはなかった。2人の名手も勝利の確証までは持てない大接戦。2頭は観衆の前の芝コースを通らず、ダートコースを通って、馬場の内側から引き揚げた。

 検量室の前に戻ると、勝負の行方は再び分からなくなった。検量室内のホワイトボードには写真判定の際に通常、有利な馬の番号が先に明記される。このときはダイワスカーレットの7、ウオッカの14の順で記されており、1着馬の場所にダイワスカーレット、2着馬にウオッカが入った。多少の希望的観測を抱いて戻ってきた武豊も、この光景に動揺したという。

 ウオッカの世話を担当していた調教助手の中田陽之(41)は、スタート地点から検量室に向かうバスの中でテレビ観戦。ほぼ、諦めていたと語る。

 「斜めからの映像だったので、完全にダイワスカーレットが出ている感じでした。(ダイワの)担当の方もガッツポーズで喜んでいたので、がっかりしていたんです」

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