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【平成の真実(18)】平成17年12月25日「ディープが負けた有馬記念」

【平成の真実(18)】

平成17年12月25日「ディープが負けた有馬記念」

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平成の真実
ディープインパクト(手前)は、先行策に出たハーツクライをとらえきれず2着。デビュー8戦目で初黒星を喫した

ディープインパクト(手前)は、先行策に出たハーツクライをとらえきれず2着。デビュー8戦目で初黒星を喫した【拡大】

 平成の競馬を語るうえで、最強馬として最も多く名前を挙げられるのはディープインパクトだろう。そのディープが国内全13戦でただ一度、敗北を喫したのが平成17年12月25日の有馬記念だった。単勝1・3倍の圧倒的な支持を受けながら、1/2馬身届かず2着。ファンの悲鳴や泣き声さえ聞こえた一戦の記憶を、池江泰郎元調教師(77)ら関係者が呼び起こした。(取材構成・板津雄志、千葉智春)

 ディープインパクト敗れる! ディープインパクト敗れる!

 一大事を告げるように実況アナウンサーがまくし立てる。13年前のクリスマス有馬はハーツクライが優勝。無敗の三冠馬ディープインパクトが2着で初黒星を喫し、ゴールの瞬間、中山競馬場に詰めかけた16万人の大観衆が静まりかえった。元調教師の池江泰郎が苦い敗戦を思い返す。

 「泣いている子もいたし、申し訳ない…と。僕もショックだった。でも戦後最初の三冠馬シンザンも全勝ではない。それが競馬。勝負の厳しさ」

 3冠目の菊花賞では単勝1・0倍という、近代競馬のGIでは信じられない支持を得た。有馬記念も同1・3倍の人気。報道は過熱し、レース前はスタンドで見守る池江を階下から狙うカメラマンがずらりと並んだ。

 「他の調教師は『池江さんのそばにおったら、えらいことになる』と逃げていって、気付いたら僕ひとり。負けたときはとんでもない顔をしていたんじゃないかな」

 レースで明らかに不利があったわけでもない。「ハーツクライが強かったことに尽きる」。敗軍の将は兵を語らず…とばかりに、今でも指揮官は勝者を称えるだけだ。

 それでも、最強馬ディープが…なぜ? という疑問はつきまとう。それに対して自分なりの答えを明かしたのが、ディープの調整役を務めていた調教助手の池江敏行(56)だ。「あれは僕の未熟さ」と回顧する。

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  • 当時のサンケイスポーツ紙面
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