2018.12.12 10:00(2/3ページ)

【平成の真実(14)】平成16年3月22日、ハルウララ106連敗

【平成の真実(14)】

平成16年3月22日、ハルウララ106連敗

特集:
平成の真実
パドックには想像以上のファンが詰めかける大フィーバー。汚れる前の勝負服はピンク色だった

パドックには想像以上のファンが詰めかける大フィーバー。汚れる前の勝負服はピンク色だった【拡大】

 「重賞レースは1頭、2頭が出走を取り消しても、大きな影響はない。でもハルウララが取り消すと、ファンに大きな迷惑をかけてしまう…」

 デビューから100連敗となり、大きな注目を浴びた前年の12月14日。9着に敗れた後、宗石の目に涙があふれた。1週間前から風邪をこじらせてつらかったが、誰にも言うことはできなかった。プレッシャーから解き放たれた涙だった。

 武豊を背にしたハルウララは、スタートで遅れた。ぬかるんだ馬場で泥などを気にし、戦意を喪失。後方のまま10着で、106連敗となった。

 ハイライトは、実はレースの後だった。名手の計らいで、ハルウララだけがゴール後に1周、コースを回って、スタンド前をゆったりと駆け抜けた。ファンの歓声がこだまする。宗石は「予想していなかった。すごいファンサービス。さすが豊さんですよね」。馬場整備の車がコースに入っていたが、予定外の出来事に、邪魔にならないように停車した。松本は「準備していなかったのは私どもの至らなさ。武豊さんのおかげで、ファンの方々も、納得していただけたのでは」と敗者の“ウイニングラン”に感謝する。

 生涯113戦0勝。ハルウララは宗石にとって「僕が管理した1頭にすぎない」と言う。ただひとつだけ、誇らしいことがある。調教師生活25年で、ただ1頭だけ名前を付けた馬だ。第1希望は「メリージェーン」だったが却下され、第2希望で提出した「ハルウララ」が通った。「温かい名前を付けたかった。それで女性や子供にも浸透したのかな」。雨がやみ明るい日差しが降り注いだ春の晴れ舞台が、ファンに愛された証明だ。 =敬称略

【続きを読む】

  • 雨上がりの馬場で泥だらけになりながら、武豊騎手は予定外の“ウイニングラン”でファンを喜ばせた
  • 22歳になったハルウララは、ファンに愛されながら千葉県で余生を過ごしている(マーサファーム提供)
  • ハルウララの宗石調教師