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【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】大ヒットもたらした壮大な人間ドラマ

【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】

大ヒットもたらした壮大な人間ドラマ

特集:
五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔
記録映画「東京オリンピック」のロケハンをする市川崑監督(右)=1964年7月撮影

記録映画「東京オリンピック」のロケハンをする市川崑監督(右)=1964年7月撮影【拡大】

 「オリンピックは人類の持っている夢のあらわれである」-テロップに続き、画面いっぱいに白熱の太陽が昇っていく。

 そして開幕を告げる鐘のように、鉄球が古い建物の壁を打ち砕く…。

 1964年大会の公式記録映画『東京オリンピック』の冒頭である。市川崑監督は、太陽の光を「あらゆる生命の源、平和と平等のシンボル」ととらえ、一方で都市の変化、未来への創造を鉄球の一撃に込めたのではなかったか。それは「変わらぬものと変化していくもの」との象徴に映る。

 いまもDVDになったこの作品をみるたび、ある種の感慨にひたる。

 映画『東京オリンピック』は総予算2億7000万円。スタッフ総数265人、カメラ83台、レンズ163個を使い、撮影フィルムは32万2933フィート(約9万6900メートル)に及ぶ。

 大会翌年の65年3月に封切られ、6カ月で観客動員1960万人、興行収入25億円を記録した。観客動員の60%を超える1186万人は小・中学生、高校生であった。

 「オリンピック精神、オリンピック運動の理解に資する」として、組織委員会が文部省に提言。小学3年生以上の児童、生徒の団体観覧が奨励された。北陸の小都市の小学5年生だった私も、担任教師に引率されて映画館にでかけた。多少なりともオリンピックに関わっている発端である。

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