2018.4.4 05:00(1/2ページ)

【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】「平和を希求する」オリンピック運動の役割

【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】

「平和を希求する」オリンピック運動の役割

特集:
五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔
3月末、平壌で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(右)と会談したIOCのバッハ会長。北朝鮮側は2020年東京五輪への参加を表明したというが… (ロイター)

3月末、平壌で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(右)と会談したIOCのバッハ会長。北朝鮮側は2020年東京五輪への参加を表明したというが… (ロイター)【拡大】

 なぜ、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長はあれほど、北朝鮮に肩入れするのだろう。

 IOCによれば、3月末の北朝鮮訪問で、金正恩朝鮮労働党委員長から2020年東京、22年北京冬季両大会参加を取り付けたという。「北朝鮮選手の参加を積極的に支援する」。バッハ氏の呼びかけに、金委員長が呼応した形である。

 今月下旬に南北首脳会談が行われ、5月にも米朝首脳会談開催が取り沙汰される。韓国文化使節団の訪朝など、北朝鮮が国際社会に向けて流す融和ムードに、ちょうちんをつけることになりはしないか。

 それこそオリンピック運動が嫌う「政治利用」にあたる。

 バッハ氏とその周辺はしかし、「平和を希求する」オリンピック運動の役割だとする。だから平昌冬季大会開会式の南北合同行進に続いて、スポーツのルールを無視してまで、女子アイスホッケー南北合同チームの背中を押したのだった。

 北朝鮮をめぐる情勢は依然、不安定である。そこに思いを致さず、「東京でも南北合同行進を」といってのけたのは、いささか“のり”を超えてはいまいか。主催はIOCではあるが、招待するのは開催都市である。

 バッハ氏はドイツの出身。1976年ミュンヘン大会のフェンシング・フルーレ団体金メダリストである。冷戦まっただ中の当時、ドイツは東西に分断され、西ドイツ代表での出場だった。

【続きを読む】