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【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】IOCと韓国政府は選手が試合に集中できる環境づくりを

【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】

IOCと韓国政府は選手が試合に集中できる環境づくりを

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五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔
昨年4月、アイスホッケー女子で対戦を終えた北朝鮮の選手と韓国の選手。平昌五輪は南北合同チームで臨む (共同)

昨年4月、アイスホッケー女子で対戦を終えた北朝鮮の選手と韓国の選手。平昌五輪は南北合同チームで臨む (共同)【拡大】

 女子アイスホッケーの南北合同チームは多くのメディアが問題視した。重ねて取り上げる必要もないが、少し触れたい。

 韓国選手23人の代表チームに12人の北朝鮮選手が加わる。試合出場は22選手。押し出されるだろう韓国選手の悔しさ、悲しさはいかばかりか。そこに思いを致したのか。

 選手数の相違は公平を前提とするスポーツの否定である。とりわけアイスホッケーは体力の消耗が激しい。勝敗に影響を与えかねない。開催国の事情があっても、本来、ご都合主義がまかり通っていいはずはない。

 1980年モスクワ大会ボイコットを持ち出すまでもなく、オリンピックは政治に翻弄され続けた。なかでも36年大会はヒトラー率いるナチス・ドイツの権力誇示に利用されたと知られる。

 このときIOCは、冬のガルミッシュ・パルテンキルヘン大会でナチスのユダヤ差別を敢然と批判、その思惑を砕いた。夏の開催地をベルリンから他国に移すと、半ば脅しの強権手法だった。

 北朝鮮は140人もの女性応援団を送り込む。応援の名のもと、自国のプロパガンダを繰り広げるかは知らないが、その動きとともに騒然となるのは間違いない。

 IOCと韓国政府はできうる限り、選手が試合に集中できる環境づくりに傾注してほしい。せめてもの責務である。

佐野 慎輔(さの・しんすけ)

 1954(昭和29)年生まれ、63歳。富山・高岡市出身。早大卒。スポーツ記者歴30年。五輪を5大会取材。産経新聞運動部長やシドニー支局長、サンケイスポーツ代表などを経て、2014年6月から現職。日本オリンピックアカデミーや笹川スポーツ財団の理事も務めている。