2015.5.19 11:00

【私の失敗(1)】鈴木大地、女子中学生に負け引退決意(1/2ページ)

特集:
私の失敗
目標をもっと高く持っていれば…。鈴木大地氏は引退を振り返り、悔やんだ (撮影・中鉢久美子)

目標をもっと高く持っていれば…。鈴木大地氏は引退を振り返り、悔やんだ (撮影・中鉢久美子)【拡大】

 1988年ソウル五輪の競泳男子100メートル背泳ぎで鈴木大地氏(48)は、金メダルを獲得。低迷していた日本競泳界を16年ぶりの快挙で活気づけた。引退後は米留学などを経て後進の指導に尽力。2013年には日本水泳連盟の会長に歴代最年少の46歳で就任して陣頭指揮を執っている。華やかな経歴を誇る“ミスター競泳”が、知られざる挫折や苦悩を語った。

 水泳人生で最大のショックだった。バルセロナ五輪イヤーの1992年。五輪代表選手選考会に向けて千葉の館山で合宿中、練習とはいえ、女子中学生の稲田法子選手(2003年世界選手権女子背泳ぎ50メートル3位)に50メートル背泳ぎで負けてしまった。

 「もう泳ぐのをやめようと思います」

 合宿が終わる前に、11歳から指導を受けてきた鈴木陽二コーチに引退する考えを伝えた。心のどこかでは大丈夫だと言ってくれる、引き留めてくれる、と思っていたが、すんなり了承された。それほど調子を落としていたということだろう。

 今から考えると、3度目の五輪出場を目指したこのときが、最も苦悩した時期だった。当時、競泳選手がメダルを目標に掲げるのは奇想天外。2度目の五輪出場となったソウルで自分が金メダルを獲得するまで、競泳はメダルから3大会(76年モントリオール、80年モスクワ=日本はボイコット、84年ロサンゼルス)も遠ざかっていた。

 「(メダルなんて)冗談でしょ? 無理に決まってるじゃん」という時代。金メダリストになったというのに、自分自身も2大会連続のメダルなんていう目標は考えもつかなかった。

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  • 鈴木大地の引退が濃厚になったことを報じた1992年4月3日付のサンケイスポーツ