2015.3.5 17:39

風邪薬使用の緒方、田知本に「警告」処分 禁止薬物含有で試合出場回避/柔道

 全日本柔道連盟は5日、東京都内で強化委員会を開き、2月の欧州遠征の際に禁止薬物が含まれた風邪薬を飲んでグランプリ・デュッセルドルフ大会の出場を取りやめた女子選手2人に「法令・規定違反行為」で「警告」処分を科すことを決めた。

 処分を受けたのは同大会の78キロ級に出場予定だった緒方亜香里(24)=了徳寺学園職=と、70キロ級の田知本遥(24)=ALSOK=で、いずれも2012年ロンドン五輪代表。また南條充寿・女子日本代表監督以下の代表コーチ5人と、2人の所属先の監督を、それぞれ「注意」処分とした。

 4段階の処分で「注意」は最も軽く、「警告」はその一つ上。選手2人は次に問題を犯した場合、さらに1段階上の「競技等の停止」処分となる。

 遠征前から風邪気味だった緒方が、使用していた市販薬を持参。現地入り後、体調不良を感じた田知本は、普段から仲のいい緒方が使用している薬をもらって服用した。薬はプラスチックの携帯ケースに入れられ、市販薬と分からない状態だったそうで、田知本は「緒方のことだから、問題ないことを確認した上で持っていると安心して飲んだ」としているという。

 だが、後に不安を感じた田知本が緒方に確認。緒方がインターネットで調べたところ、禁止されている興奮剤のメチルエフェドリンが含まれていることが分かり、コーチに申告した。チームに帯同していたトレーナーは規定に適合した風邪薬を用意していたが、相談はしなかったという。

 強化委員会では、警告より重い処分を求める声もあったという。だが、全柔連が日本アンチドーピング機構(JADA)に照会したところ、風邪薬の誤用によるドーピング違反は他競技でも比較的頻繁にあり、多くは3カ月間の出場停止に収まっている事実があった。さらに今回は、検査で発覚した「ドーピング違反」ではなく、自己申告で出場を取りやめた「法令・規定違反行為」になることを考慮し、警告が妥当と判断された。増地千代里女子強化委員長(44)は「市販の薬品を使用しないことは選手としての義務であり、できて当然。選手任せにしていたことを反省している」と話した。

 全柔連によると遠征の際、男子は「現在使用している薬をすべて申告」させているが、女子は「違反する薬を持っているなら提出」するように指導していたという。

 「基本中の基本を、五輪に出場した選手ができていなかった。『何をやっているんだ』という思いはある」と、山下泰裕副会長(57)。女子は一昨年に明らかになった暴力指導問題で監督以下の指導陣が交代するなど混乱があり、「ずっとやってきたことが、一部引き継がれていなかった」と説明。「どうやれば再発を防止できるかを再度議論し、次回の強化委員会に案を出して検討することにした」とした。