2015.2.25 11:30

【乾坤一筆】43歳北斗龍が土俵に立ち続ける理由(1/2ページ)

特集:
ベテラン記者コラム・乾坤一筆
13年前の北斗龍(右)。43歳の今もハンディを背負いながら、現役を続けている

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 着物姿で足元にはスニーカー。まげを結った男は2月の下町を確かな足取りで歩いていた。和装のルールに反するようなスタイルには、やむを得ない理由がある。昨年の5月、大切なものを喪失してしまったからだ。

 3月8日に初日を迎える大相撲春場所で入門30年目を迎える北斗龍(43)=北の湖。初土俵から1169回連続出場という現役1位の記録を持つベテランは、昨年春場所後に大きな岐路に立たされていた。

 長年、糖尿病を患っていた。大阪から帰京した3月下旬、経験のない痛みが足に走り、病院へ向かったが、「たいしたことない。薬を飲めば問題ない」などと医師。だが、その後も痛みは治まらず、専門医に駆け込んだときには、すでに手遅れだった。

 「壊死(えし)した親指を切断するしかない」

 土俵の砂に食い込ませるために必要な右足親指の切断は、力士にとって引退宣告と同じ意味があった。「もう潮時だし、このまま辞めてしまおうか…」。引退が頭によぎったが、6月下旬、松葉づえとともに名古屋へ向かった。大きな痛手を負いながらも現役続行を決意したのだ。

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