2014.11.10 05:04

【佐野稔の舞評論】強行出場の是非より練習形態の見直しが先決

特集:
佐野稔の舞評論

 強行出場した是非は、精密検査の結果を見なければ、議論に入れないのではないか。大会には各国のドクターが控えており、状態を確認し、応急処置を施したうえで出場のゴーサインが出されたのだと思う。コーチのオーサー氏は、難しい決断を迫られた。

 今回の激突を教訓として生かすべきだ。演技直前の6分間練習で6人が滑る流れは、私が現役だったころから変わっていない。一方でルールは年々変わり、男子は4回転ジャンプを跳ぶようになった。リンクの中では以前よりスピードをつけて動いている。

 五輪王者が国際スケート連盟(ISU)公認大会でアクシデントに見舞われた事実は重い。練習形態を見直す時期にきているのかもしれない。時間の制約があるなかで、スケーターたちにとって、最適な環境を用意することが必要だ。

 オーサー氏は負傷した体を心配しながらも、最終的には羽生の思いをくみ取った。賛否両論があるのは当然だろう。起きたことを悔いても仕方がない。二度とこのような事態が起こらないようにしていくことが先決だ。 (1976年インスブルック五輪代表、1977年東京世界選手権銅メダリスト)

(紙面から)