2014.5.21 05:00

【さよなら国立競技場(3)】失敗は許されないスタジアム(1/2ページ)

国立で行われた1991年の世界陸上男子400メートルでファイナリストとなった高野。同年の日本選手権では日本最高記録をマークしていた

国立で行われた1991年の世界陸上男子400メートルでファイナリストとなった高野。同年の日本選手権では日本最高記録をマークしていた【拡大】

 国立競技場で印象に残っているのは、もちろん400メートルの自己ベスト(現在も日本記録の44秒78)を出した1991年の日本選手権、その年に東京で行われた世界選手権(7位)だね。ただ国立デビューした高校2年の秋、100メートルに初めて出たときの印象も大きいんだよ。

 初めて静岡から出てきて、すり鉢状の大きなスタジアムに入ってびっくりした。自分がこれまで考えていた陸上競技場と違うスケールを目の当たりにして、これが陸上の聖地なのかと。近代的になったり屋根ができたり立派な競技場がたくさんできた。それでも空がポンと抜け、大きな空が見え、観客が5、6万入るスタジアムは他にない。

 国立競技場でのレースは失敗しないようにと心がけていた。僕にとっては日本一を決めるところだし、世界に行く前に選考されるところだったから。

 27、28歳からは大学の教員として授業を夕方まで持って、そのあと課外活動として学生と一緒に走った。教員としてのプロの仕事をした後、アマチュアとして競技に挑んできた。年に数本しか走れなかったから、そこで調子が悪いというのは許されなかった。国立で走るときはそれ相応の時。国立に行くとピシッと一本筋が通る。そういう雰囲気を持った競技場だった。

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