宇野、大逆転初V!フリー世界最高197.36点「しんどかった…」/フィギュア

 
金メダルを胸に、日の丸を誇らしげに掲げる宇野。“シルバーコレクター”を返上した(共同)

 フィギュアスケート・四大陸選手権第3日(9日=日本時間10日、米カリフォルニア州・アナハイム)欧州以外の国・地域が参加する大会。男子は昨年の平昌冬季五輪銀メダルの宇野昌磨(21)=トヨタ自動車=がショートプログラム(SP)4位で迎えたフリー1位で逆転し、合計289.12点で初優勝した。フリーの197.36点は、2018年グランプリ(GP)シリーズ第3戦、フィンランド大会で記録した羽生結弦(24)=ANA=の190.43点を上回るルール改正後の世界最高。シニアの主要国際大会で初の金メダルを手にした。

 まるで歓喜の銃弾に撃ち抜かれたかのように、演技を終えた宇野が膝からリンクに崩れ落ちた。5秒、いや10秒。起き上がることができない。死力を尽くし、シニア4季目で初の主要国際大会制覇。淡々とした口ぶりはいつもと変わらずとも言葉は熱かった。

 「あそこで寝転びたいくらいしんどかった。結果にこだわらず試合に挑むと言い続けてきたけど、やはり優勝したことはすごくうれしいです」

 昨年末の全日本選手権から1カ月余りで3度も右足首を捻挫し、現地入り翌日の2月1日から練習再開。1週間余りの調整で、4回転サルコーは外した演技の冒頭からたたみかけた。4回転フリップ、続く4回転トーループを鮮やかに決める。アナハイムの客席から悲鳴に似た歓声が響く。7本のうち4本のジャンプで2・50点以上のGOE(出来栄え点)を引き出した。

 「197・36点」。首位との8・42点差を逆転し、羽生が保持した世界最高を6・93点上回った。五輪や世界選手権、GPファイナルを含めたシニアの主要国際大会は6戦連続2位。2015年に初出場し、5位から1つずつ順位を上げてきた四大陸選手権で壁を打ち破り、女子で優勝した紀平梨花(16)=関大KFSC=に続いた。

 全日本選手権のSP直前に負った右足首の捻挫は、靱帯(じんたい)を部分断裂したほどの重傷だった。10日の静養期間が明けて間もなく。4回転サルコーの練習を積んで疲労がたまっていた足首が悲鳴を上げた。「バキッて。足が本当に熱かった」。この日は患部をテープで固め、4分を演じ切った。

 4位にとどまった7日のSPの後だった。宿舎でケアをした出水慎一トレーナーから掛けられた言葉に胸を打たれた。

 「昌磨には世界選手権で1位を取ってもらいたい。競技人生で1位がないと寂しい」

 部屋での対話は2時間近く続いた。2年前からサポートを受け、内気な21歳が「心を許した人」というトレーナーの一言に奮起。以前は行わないこともあったアップを一から見直し、体と向き合って銀盤に立った。

 3月の世界選手権(さいたま)での羽生との顔合わせは昨年2月の平昌冬季五輪以来となる。順位にとらわれなかった宇野が言い切った。「世界選手権では、もっと練習した上で優勝を目指したい。1位にこだわる」。言葉にも姿にも、かつての面影はない。(鈴木智紘)

★羽生の近況

 カナダ・トロントで指導するブライアン・オーサー・コーチは先月下旬の欧州選手権で、羽生がすでに氷上練習を再開していると明かした。3月の世界選手権には「もちろん出場する計画だ。ベストを尽くす」と話した。羽生は昨年11月のGPシリーズ第5戦・ロシア大会で右足首を痛め、12月のGPファイナルと全日本選手権を欠場。治療に努めていた。負傷前のGPシリーズ第3戦・フィンランド大会で、宇野に更新される前までフリーの世界最高得点だった190・43点をマークしていた。

四大陸選手権

 欧州を除く4大陸(アジア、北中南米、アフリカ、オセアニア)の選手を対象として1999年に創設された。世界選手権や欧州選手権より歴史は浅く、世界選手権に向けた調整の舞台に位置づける選手も多い。会場の「ホンダセンター」は米大リーグ・エンゼルスの本拠地エンゼルスタジアムの目と鼻の先にあり、NHLのアナハイム・ダックスのホームリンク。

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