稀勢、危な…勝った!捨て身の突き落としで執念3連勝/秋場所

 
土俵際で逆転の突き落とし。稀勢の里(奥)は物言いのついた一番を制し、初日から3連勝とした(撮影・福島範和)

 大相撲秋場所3日目(11日、両国国技館、観衆=1万936)8場所連続休場から復帰し、進退を懸けた土俵に立つ横綱稀勢の里(32)は土俵際、平幕豊山(24)を捨て身の突き落としで破って3連勝。2日目も小結貴景勝(22)を土俵際の突き落としで退けており、連日の逆転白星となった。横綱鶴竜(33)、白鵬(33)もそろって3連勝を飾った。自身初のかど番となった大関栃ノ心(30)は貴景勝の引き落としに屈し、初黒星を喫した。

 手を尽くして抵抗する。進退が懸かる稀勢の里にとって、まさに土俵際。乾坤一擲(けんこんいってき)。血の気が引くような逆転の突き落とし。物言いはついたが、もらった軍配は動くことはなかった。

 「しっかり集中して。やることをしっかりやろうという気持ちだった」

 稀勢の里には1月の初場所5日目以来となる結びの一番。待ったがあって2度目の立ち合い。得意の左四つに組み止めて寄って出た。だが、豊山も頭をつけて土俵際まで寄り返す。激しい攻防で横綱は、まわしが取れず腰高に。

 両足を俵にかけてこらえながら捨て身の合わせ技。左からすくって相手のバランスを崩した瞬間、揺さぶるように右から強烈な突き落とし。自身も横転して土俵下へ落下し、館内のボルテージは最高潮に達した。

 稀勢の里は年6場所制が定着した昭和33年以降、横綱として最長となる8場所連続休場からの復活を期す。7場所連続休場から再起、12勝を挙げた経験をもつ貴乃花親方(46)=元横綱=は胸中をこう察した。「(稀勢の里は)人生を懸けて土俵へ上がっている。やるしかないという思いが表情ににじみ出ている。(歓声や拍手は)ただの応援ではない。お客さんは自分の人生に投影してみていると思う。自分が復帰したときもそう感じたから」。

 貴乃花が7場所連続全休した際、横綱審議委員会(横審)は平成14年秋場所への出場を勧告。当時の渡辺恒雄委員長は横綱の責任として「13勝」という数字まで提示した。だが、稀勢の里には横審から「激励」などの勧告や要望はなされていない。薄氷の3連勝発進。「またあした、しっかり集中してやりたい」。土俵人生を懸け、勝敗を超越する土俵が続く。 (奥村展也)

データBOX

 ◎…3横綱が初日から3連勝するのは平成26年秋場所の白鵬、鶴竜、日馬富士以来4年ぶり。この場所は日馬富士が4日目に反則負けした。
 ◎…3横綱が初日から4連勝となれば、11連勝した平成元年春場所の北勝海、千代の富士、大乃国以来29年ぶりとなる。

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