大坂なおみ、躍進の裏に敏腕コーチ!昨年12月就任のバイン氏/全米テニス

 
決勝前に、大坂と話し合うバイン氏(左)。二人三脚でつかんだ全米制覇だった(共同)

 テニス・全米オープン第13日(8日、ニューヨーク)急成長の裏に名伯楽の存在あり-。第20シードの大坂なおみ(20)=日清食品=が女子単決勝で元世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズ(36)=米国=を破って初制覇。アジア勢初優勝を成し遂げた。昨年12月に専属コーチに就任したドイツ出身のサーシャ・バイン氏(33)は、手がけた選手がいずれも世界1位に就いている敏腕指導者。その手腕が大坂にも遺憾なく発揮された。

 優勝が決まった瞬間、静かにバイザーのつばを下げ涙を隠した大坂。コーチ席で仁王立ちとなり、両腕を高く掲げたバイン氏。対照的な両者の性格が端的に表れた。

 「なおみを本当に誇りに思う。動き続けることが大事で、フィジカル面でも相手より良かった。(相手の抗議などにも)集中力を保って戦ってくれたことがうれしい」

 バイン氏が手放しでほめた。従来、大坂のコーチ役は父のレオナルドさんだったが、世界トップに上がるにはプロの指導者が必要-と昨年12月、大坂側がバイン氏に接触した。

 バイン氏自身、時速200キロクラスのサーブを持ちながら、当時世界70位前後に停滞していた大坂に関心を持ち、その指導を「魅力的なチャレンジ」と感じたという。

 大坂は練習嫌いで、引っ込み思案の性格から物事をネガティブにとらえるところもあった。陽気なバイン氏は「できるだけ楽しく、ポジティブな雰囲気を作ろうと思っている」と、練習前のアップから笑顔で併走し、トレーニングでも一緒に汗を流す。ラリーやサーブの練習では、「負けたら渋谷の交差点でダンスする」など、罰則ありの勝負形式で意欲を起こさせた。負けたバイン氏が罰則のスクワットをし、大坂がニヤニヤしながらスマホで撮影するなど、練習は笑いが絶えない。

 「ハッピーでポジティブな人の近くにいることが、いい影響になっている」と大坂も認める。

 セリーナ・ウィリアムズ、ビクトリア・アザレンカ(29)=ベラルーシ、キャロライン・ウォズニアッキ(28)=デンマーク=も指導したバイン氏は「選手は一人一人違い、成功の形式はない。ベストを引き出すにはどうすればいいかを個々に考える」。その哲学と信頼関係が大坂を急成長させた。

★五輪で金取りたい

 日米の国籍を持つ大坂は日本代表として昨年初めて国別対抗戦のフェド杯に出場した。2年後の東京五輪に向けて「(ランキングで)世界1位になり、五輪で金メダルも取りたい」と公言する。今回の全米制覇でメダル獲得への期待はますます高まる。

★今後の予定

 大坂は今週、帰国する予定。スポンサーのイベントに出席するなどした後、凱旋(がいせん)試合となる東レパンパシフィックオープン(17-23日、アリーナ立川立飛)に出場する。今回の全米優勝で週明けの世界ランキングは自己最高の7位に浮上することが決まっており、8位までが出場できるツアー最終戦・WTAファイナルズ(10月21-28日、シンガポール)出場の可能性も出てきた。

サーシャ・バイン(Sascha Bajin)

 1984年10月4日生まれ、33歳。ドイツ出身。本名アレクサンダー・バイン。2005年から08年にかけて選手としてATPツアーに出場するが大成せず引退。コーチ転身後はセリーナ・ウィリアムズのヒッティングパートナーを8年間務め、その後はビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を指導。17年にはキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)を支え、18年1月の世界ランク1位復帰を後押しした。

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