ポセイドンJ、東京でメダル奪還へ!まずはアジアで金/水球

サンスポ×日体大
日体大の横浜・健志台キャンパスで汗を流す足立(奥)。女性ファンの多いイケメンエースが東京五輪でメダル獲得を狙う (撮影・山田俊介)

 2020年東京五輪開幕まで、24日で700日。出身大学別最多の夏季五輪メダリスト62人を輩出している日体大とコラボレーションした長期連載の第10回は、躍進する水球男子日本代表「ポセイドンジャパン」に迫る。日本代表の大半を占める水泳部水球ブロック部長の大本(おおもと)洋嗣・同大体育学部体育学科教授(51)は、代表も指揮する。日体大と日本代表の強さの秘密に迫った。 (取材構成・角かずみ)

 進化が止まらない。水球男子日本代表「ポセイドンジャパン」は6月にブダペストで行われた世界のトップ8カ国で争われるワールドリーグ(WL)で、国際水泳連盟(FINA)主催の国際大会では過去最高の4位に輝いた。2016年リオデジャネイロ五輪で1988年ソウル大会以来28年ぶりにメダルを逃したバレーボール女子などの団体競技の中で、20年東京五輪での活躍を予感させるのがポセイドンジャパンだ。

 13人中、9人が日体大のOBや現役学生で挑んだリオデジャネイロ五輪は、1次リーグ5戦全敗で敗退。この悔しさをバネに、大本監督は現在では新しい戦法を取り入れたり、大胆にも高校生を2人代表入りさせたりするなどメンバーを刷新。25日から予選リーグがスタートするジャカルタ・アジア大会でも10人の代表が日体大から選出され、48年ぶりとなる金メダルを目指す。

 多くの代表を輩出する日体大の強さは、徹底したコーチングにある。早朝のランニングにも必ずスタッフを配置。トレーナーを雇い、毎日同じウエート練習ではなく部位を分けて鍛えるなどプロのメニューをこなす。「時間内で答えを出すトレーニングの時代」と短い時間で効率的な練習を行い、定期的な休みも欠かさない。

 科学的な根拠に基づいたトレーニングで強さを身につけた選手が、日本代表も支える。東京五輪に向け、大本監督は「東京で最下位なら出ない方がいい」とし、メダル獲得を視野に入れる。今年3月に日体大を卒業し、代表ではエースとして活躍する足立聖弥(23)=株式会社イカイ=も「五輪で得点王になりたいし、ベスト4には入る」と意気込む。

 団体球技のメダル獲得が、五輪の盛り上がりを左右すると言っても過言ではない。急成長するポセイドンジャパンにかかる期待は大きい。

★“絶対王者”強さの原点「清原イズム」

 日体大水泳部水球ブロックは現在、日本学生選手権で20連覇中。“常勝軍団”が始まったのは、1970年から指導した清原伸彦名誉教授(77)の存在が大きい。

 清原氏が監督に就任した頃、日体大は2部の3番手。チームを強くするため、まずは私生活を整えることに着手した。睡眠、栄養など生活環境を整えるため水球選手だけの合宿所を確保。午後10時半消灯を厳守し、消灯前に電子機器を回収するなど、競技に集中できる環境をつくった。

 一風変わった練習も導入した。競技経験のない清原氏は素人だからこそいかに高く浮かび上がるかを追求。「巻き足で高さを出すにはどうしたらいいか。股関節をできるだけ開いて広範囲で水をとらえたらいい。じゃあ股を開くには? 相撲だろう」

 水球選手が相撲部と一緒に四股を踏み、柔軟性を高めた。また、4年生は10月の主要大会後も引退せず下級生の練習に参加するなどサポート。これらの取り組みが実を結び、日本学生選手権で21年間無敗の376連勝につながった。

 「4年間やったことが社会に出てどう自分の武器になるか。武器としてその子に何かを残してあげることが大学スポーツの指導者」。人間力をつけるためのスポーツ-。この清原イズムが“常勝軍団”の礎を作った。

★世界の情勢

 水球は欧州で人気が高く、日本とは異なりプロリーグがいくつも名を連ねる。2016年リオデジャネイロ五輪では金・セルビア、銀・クロアチア、銅・イタリアと欧州諸国がメダルを独占。昨夏の世界選手権も同様だ。

 日本は、1932年ロサンゼルス五輪で初めて出場。攻撃的な守備戦術「パスラインディフェンス」を武器に32年ぶりに出場したリオ五輪は5戦全敗に終わった。東京五輪に向けて強化が進み、今年6月に行われたワールドリーグでは欧州勢に割って入り過去最高の4位。五輪、世界選手権と並ぶ主要国際大会で結果を残し、徐々に世界での序列を上げている。

日体大水泳部(水球ブロック)

 水泳部は1901(明治34)年創部。1970年に清原伸彦名誉教授が水球ブロック監督に就任。関東学生リーグおよび日本学生選手権で21年間(1974~1994年)無敗の376連勝を樹立するなど強さを築き、現在も日本学生選手権20連覇中。男女ともに代表選手を数多く輩出。2016年リオ五輪代表13人中9人、18年アジア大会には男子13人中10人(既卒9、現役1)・女子13人中3人(既卒2、現役1)が選出されている。

水球

 19世紀半ばに英国で発祥したとされる。水深2メートル以上、縦30メートル、横20メートルのプールで行われる。試合時間は1ピリオド8分の4ピリオド制で行われ、7人で構成された2つのチームがゴールにボールを入れ、多く得点を入れた方が勝利となる。ボールを手で扱うことから「水中のハンドボール」の異名をもつ一方で、激しい接触もあり、「水中の格闘技」ともいわれる。

Read more