暑さ乗り越え、成功にベストを尽くせ

五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔
JR東京駅前を日傘や扇子で暑さをしのぎながら歩く人たち。東京五輪は酷暑対策が大きな課題になる

 この2カ月間に起きた自然災害の大きさに改めて驚く。

 何よりも西日本を襲った豪雨と大洪水。友人、知人に連絡をとると、ただただ「1日も早く、元に戻るよう頑張るしかない」と話していた。

 その前には大阪北部で大きな地震もあった。思わず「3・11」、東日本大震災の惨状が脳裏を駆け巡った。

 そして、大災害を追いかけるような猛暑。復旧を妨げ、各地で亡くなる方まで出ている。

 「いつまで続くんだ」と空をにらむ。当面、この暑さとの戦いは続くのだろう。

 そんな災害大国、日本で2年後、東京オリンピックの開幕を迎える。

 「もし、大会期間中や開幕前に今年のような事態が起きたら、大会は中止するのか、延期になるのか」。酒席でそう聞いてきた友人を「止めろ、言霊になる」と制して言った。「いまだかつて戦争以外で中止されたオリンピックはないんだ」

 冬のオリンピックでは寒さや雪不足で競技が中止、延期されたことはある。夏では1972年ミュンヘンのアラブゲリラによるイスラエル選手団襲撃による日程変更はあった。ただ、暑さによる変更はあったか、知らない。

 2年後の東京は酷暑との戦いになる。温暖化が拡大する地球にあって、東京は今後の暑さ対策の国際基準となる対策を講じなければならない。

 マラソンや競歩などの競技時間を早朝に繰り上げ、道路を特殊加工。沿道の緑化対策やミストシャワー、給水など工夫も凝らすという。

 限られたなかで、それでもアスリート・ファーストを徹底したい。選手だけではなく、観戦者にも重要な視点である。

 懸念される輸送問題。暑さ対策とも密接にからみあう。

 選手や役員、審判員を安全にできるだけ早く会場に送り届けなければならない。ボランティアの人たちも同じだ。彼らが遅れれば競技進行に支障もでよう。そして、観客を炎天下に長々と待たせるわけにはいかない。

 輸送路確保は暑さ対策でもある。組織委員会、関連企業だけではなく政府、東京都をあげた対応が必要だ。企業、学校も協力し、夏休みの取り方も工夫したい。

 する、みる、支える。東京は、日本は大会成功に向けてすべての分野でベストを尽くしたい。

佐野 慎輔(さの・しんすけ)

 1954(昭和29)年生まれ、64歳。富山・高岡市出身。早大卒。スポーツ記者歴30年。五輪を5大会取材。産経新聞運動部長やシドニー支局長、サンケイスポーツ代表などを経て、2014年6月から現職。日本オリンピックアカデミーや笹川スポーツ財団の理事も務めている。

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