守るべきものはフェアプレーとスポーツマンシップ

五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔
日大の内田前監督は17日、反則問題を謝罪した。スポーツ界でいま、フェアプレーが問われている 

 日大アメリカンフットボール部選手による「悪質タックル」が連日話題を集める。

 新聞各紙が大きく取り上げ、テレビも報道番組やワイドショーなどで時間をかけて伝える。あのタックル映像は衝撃的で確かに人目をひく。

 日大側の対応の拙さが火に油を注ぎ、社会問題化した。簡単には終息しないだろう。

 危機感を抱いた日本アメリカンフットボール協会(JAFA)は28日、「フェアプレー宣言について」との見解を発表。この種の事件が二度と起きないよう抜本的な再発防止策に取り組むとし、改めて「フェアプレー」の徹底を誓った。

 当然である。しかし、当該の日大当局の感度は鈍い。核心の存在をかばい続けたままでは、問題解明には至るまい。

 守るべきは何か。フェアプレーを問い直すとともに、JAFAには苦悩する日大の選手たちに手を差し伸べてほしい。

 他方、この問題の裏で競泳のオリンピック代表選手のドーピングは、あまり人々の口にのぼらなかった。当該選手は意図的な摂取を否定したが、暫定資格停止となり、今夏のジャカルタ・アジア大会代表を取り消された。

 年明けに発覚したカヌー選手によるライバル選手への禁止薬物混入事件は論外。ただ最近では、平昌冬季大会ショートトラック代表選手がドーピング検査に陽性反応するなど、日本選手によるドーピング・トラブルが目立っている。

 ショートトラック選手はコンタクトレンズの保存液が要因だという。競泳選手は食生活改善のために用いたサプリメントが陽性反応を示した。悪質とはいえないが、不注意では済まされない。

 自身の周囲に注意を払うことは、トップ選手としての責任である。スポーツ界をあげて、意識変革に取り組むべきだ。

 ルールを守り、おのれの責務を果たす。フェアプレーの根本である。

 むろん、意図的で傷害罪に問われかねないタックルと、意図的とはいえないドーピングとを同列に並べてはならない。事の性質は異なり、論じることには無理がある。

 ただ、守るべきものを考えていくと、フェアプレー、スポーツマンシップに行き着く。終局、それがスポーツを守り、選手を守ることになる。

 2020年、近づけばお祭り騒ぎとなる。その前に、スポーツの根本を改めて考えておきたい。

佐野慎輔(さの・しんすけ)

 1954(昭和29)年生まれ、64歳。富山・高岡市出身。早大卒。スポーツ記者歴30年。五輪を5大会取材。産経新聞運動部長やシドニー支局長、サンケイスポーツ代表などを経て、2014年6月から現職。日本オリンピックアカデミーや笹川スポーツ財団の理事も務めている。

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