2020.11.10 12:00

【サッカーコラム】ピッチ外でもお手本だった川崎のバンディエラ

【サッカーコラム】

ピッチ外でもお手本だった川崎のバンディエラ

特集:
No Ball, No Life
昨年の中村の誕生日当日に練習場を訪れたファンにサインをする中村。毎年、バースデーには大勢のファンが祝福に訪れた

昨年の中村の誕生日当日に練習場を訪れたファンにサインをする中村。毎年、バースデーには大勢のファンが祝福に訪れた【拡大】

 【No Ball、No Life】1日に今季限りでの引退を発表したJ1川崎のMF中村憲剛(40)。18年間、川崎一筋でプレーしてきたバンディエラ(イタリア語で『旗頭』)はファンやメディアを大切にする選手だ。

 私が川崎担当になったのは2018年の10月。取材をするようになって、まず驚いたのが、その対応の丁寧さ。クラブハウスでの練習後の取材が終わって、ふとレコーダーの録音時間を見ると30分を超えていることも。囲んでいる記者たちから質問が出なくなるまで取材に応じていた。

 その受け答えは軽快で面白い。取材後にコメントを起こすため、レコーダーで聞きなおしていると時折、記者たちを笑わせながら答えるそのやり取りは、ラジオを聞いているような感覚にすらなった。また、試合直後のミックスゾーンでは冷静に的確な言葉で試合を振り返る。その解説に何度もうならされ、勉強をさせてもらった。

 ファンサービスも一流。今は新型コロナウイルスの影響で中止されている日々の練習場でのファンサービスも積極的に行った。なかでも、毎年10月31日の誕生日に練習場を訪れた大勢のファン1人1人と言葉を交わしたり、サインに応じながら、グラウンドからクラブハウスに伸びる長い坂をゆっくりと時間をかけて登ってくる姿が印象に残っている。

 そんな先輩の背中を見て育った川崎の選手たちはメディア対応は丁寧で、ファンサービスは積極的。バンディエラはプレーだけでなく、ピッチ外でもサッカー選手としてのあり方を後輩に示していた。(山下幸志朗)