2020.9.8 12:00

【サッカーコラム】J1浦和の槙野が初めて経験した「危機感」

【サッカーコラム】

J1浦和の槙野が初めて経験した「危機感」

特集:
No Ball, No Life
ゴールを決めたレオナルド(左)を祝福する浦和・槙野

ゴールを決めたレオナルド(左)を祝福する浦和・槙野【拡大】

 【No Ball、No Life】すでにベテランの域に達してきた。33歳。周りの選手を巻き込み、雰囲気を明るくする天才。それが浦和の元日本代表DF槙野智章。ただ今季は彼らしからぬ“危機感”を抱いていた。

 「こんなこと、プロに入ってから初めて。悔しい時間だった。試合に出られないときは外からチームを見ていた…」

 7月26日のアウェー横浜FC戦で、今季初先発出場を果たし、チームを2-0の勝利に導いた。試合後、苦しい胸の内を明かしたのだ。

 2月21日の開幕、アウェー湘南戦で先発を外れ、3-2の後半44分に“守備固め”で起用された。その後、新型コロナウイルス感染拡大で約4カ月、公式戦が中止になり、再開初戦となった7月4日のホーム横浜M戦ではベンチ外。この試合から5試合、出番がなかった。これまで浦和の主力として、負傷や出場停止以外で先発を外れることはほとんどなかった。実力不足、チーム構成上のメンバー外…。槙野にとっては屈辱だったはずだ。

 2017年。日本代表で槙野を取材した。代表では主に控え組で、ベンチを温めることが多かった。「控え組の選手の気持ちがよくわかった。この経験はチームでも生かされる」と槙野。浦和でも控え組や若手と積極的にコミュニケーションを図り、チームを盛り上げてきた。

 メンバー外になった今季、33歳は外から分析。そして連敗時には「失点後に下を向いている選手が多い。声を掛け合うような姿勢もない」という印象を持ったという。そこで、初先発となった横浜FC戦前には「声を出そう、ガマンして盛り上げていこう!!」と選手を鼓舞。そして勝利後には「この試合にかける思いというか、ベテランの意地を見せられた」と満足そうな表情を浮かべた。

 今季、槙野が先発した7試合では4勝1分け2敗(先発でない7試合は3勝1分け3敗)。槙野がチームを牽引(けんいん)していることは間違いないようだ。

 8月29日のホーム大分戦で、J1通算350試合出場を果たし、試合も2-1で勝利した。試合後は、350試合は通過点とばかりに「1000試合出場を目指したい」と笑った。あと20年、現役を続ければ到達可能だが“お祭り男”なら、それも可能に思える。ベテラン槙野に、今後も注目したい。(宇賀神隆)