2020.6.30 17:11

「非常に不思議な感じの試合」J2再開戦・リモートマッチで監督、選手が感じたもの

「非常に不思議な感じの試合」J2再開戦・リモートマッチで監督、選手が感じたもの

「非常に不思議な感じの試合」J2再開戦・リモートマッチで監督、選手が感じたもの

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 125日間の中断を終えて27日、Jリーグが再開した。J2・J3全20試合が無観客での「リモートマッチ」開催となった。いずれもJリーグが定める「新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」の対策プロトコルに基づいて行われた最初の試合である。(取材・文=林遼平)

 ■すべてが元通りにはならない中で

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 「背後をうまく使え!」、「ここらだぞ勝負どころは!」

 新型コロナウイルスの影響による中断が明け、約4か月ぶりに戻ってきたJリーグ。感染防止対策の徹底によって観客を入れることができなかったここ味の素スタジアムでも、久々の公式戦に臨む選手や監督の声がピッチ上に響き渡っていた。

 試合の2日前、東京ヴェルディの永井秀樹監督は、観客を入れずに開催されるリモートマッチについて思いの丈を明かしていた。

 「もちろん観客に見てほしいのでとても残念ですけど、サッカーをやれる喜び、サッカーが戻ってきた幸せもある。だから我々は精一杯のプレーを見せるだけ。いろいろなものを通して試合を見てもらえると思うので、多くの方々にいいサッカーを見せて、たくさんの感動を与えられるように100%の努力をしたいなと思います」

 新型コロナウイルスとの共存を考えれば、すぐにすべてが元通りになるとは思わない。いま自分たちができることは何かを考え、指揮官は思いを言葉にしていた。

 明治安田生命J2第2節・東京V対町田ゼルビア。“東京クラシック”と銘打たれた一戦のキックオフの笛が鳴ると、選手たちは久しぶりにサッカーができる喜びを噛み締めるように、激しく戦った。

 「試合の緊張感は何にも変えられないものがあると思うし、すごく幸せなことだと感じた。ピッチに立っている時間が自分の中で一番いい時間というか、好きな時間だなと改めて思った」とは、この日東京Vの中盤で舵取り役を担っていた井上潮音の言葉だ。公式戦ができない数か月を経て、溜まりに溜まった鬱憤を晴らすように、選手たちはピッチで自分たちのサッカーを表現した。

 ■無観客で響き渡る監督、選手の声

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 新鮮だったのは彼らの声だ。観客が入っていると、なかなかピッチ上の声を聞くことはできない。特に、この日はチャンス場面以外用意した“歓声”を流していなかったため、一人ひとりの声が遠くまで届いていた。

 飲水タイム中の声は印象的だった。立ち上がりにリードを奪ったFC町田ゼルビアだったが、得点以降は東京Vに70%を超えるほどボールを保持され、耐える時間が続いていた。そんな中、ディフェンスリーダーの深津康太が、声を張り上げながらチームの意志を統一させていた。

 「落ち着いていこう! 何も問題ないよ」

 普段から発している言葉だとは思う。しかし、こういう状況だからこそ、響き渡ったその声はよりチームを引き締めたはずだ。深津やGK秋元陽太、東京VならGK柴崎貴広や平智広の声は、試合を通してよく聞こえていた。もちろん両指揮官も様々な指示を送っており、町田のランコ・ポポヴィッチ監督は前線の守備に対して不満があれば、その都度指示していた姿が印象に残っている。

 試合は3分、平戸太貴が決めてアウェイの町田が先制するも、後半アディショナルタイムに東京V藤本寛也がPKを沈めて土壇場で追い付き、1-1のドローに終わった。

 これまでとは違う、新たな形で再開したJリーグ。永井監督は改めて再開初戦の感想を述べた。

 「非常に不思議な感じの試合でした。ただ、選手が前向きにやってくれたのはすごくよかったなと思います。我々の仕事からすると非常に声が通りますし、指示も伝わる。そのやりやすさは感じながらやっていました。でも改めて、Jリーグはお客さん、ファン・サポーターの方に支えていただき、見ていただいている中でプレーするのが選手にとっても一番いい形なのかなと感じました」

 試行錯誤を重ねて臨んだ再開戦。この環境を受け入れ、試合ができることに感謝しながら、これからも選手たちは目の前の勝利を目指して戦いに挑んでいく。画面の前で応援してくれているサポーターのために。そして、多くのサポーターと共に勝利を一緒に喜び合える日がすぐに戻ってくることを信じて。(Goal.com)