2019.11.19 14:58

【サッカーコラム】サッカーを離れた現場でバイキングクラップに遭遇

【サッカーコラム】

サッカーを離れた現場でバイキングクラップに遭遇

特集:
No Ball, No Life
日本通運のバイキングクラップ(撮影・飯塚健司)

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 【No Ball,No Life】10月下旬から11月上旬にかけて、サッカーを少し離れて社会人野球を取材した。京セラドーム大阪で開催された社会人野球日本選手権大会で、地元の大阪ガスが優勝を飾った。

 興味深かったのが各出場チームの応援スタイルで、いろいろと趣向が凝らされていた。五回裏終了後のグラウンド整備に合わせていわゆる“応援合戦”が行われるのだが、日頃サッカーの現場で働いている自分にとってなじみのある光景を目にした。

 日本通運の応援団がバイキングクラップを繰り出したのである。スタンドにビッグフラッグを掲げながら--。

 バイキングクラップの説明を少し。世界的に幅広く認識されるようになったのは、ユーロ2016だと考えられる。人口約33万人のアイスランドが初出場し、小国から駆けつけたサポーターたちが「フーッ!」という掛け声に合わせ、両手を掲げて頭上でクラップ(拍手)する応援スタイルを披露した。試合後には選手も加わり、スタンドとピッチで一体となって盛り上がる光景は、大会に彩りを加えていた。

 ちなみに、参考として記すと、バイキングクラップの起源はアイスランドではなくスコットランドのマザーウェルだとされているが、また別の話題なので割愛する。

 なにはともあれ、バイキングクラップに後押しされ、ユーロ2016でアイスランドはグループリーグを1勝2分けで通過し、ラウンド16ではイングランドに2-1で勝利してみせた。準々決勝で開催国フランスに敗れたが、各選手が献身的にプレーする姿と、試合中にサポーターが適度なタイミングで繰り出し、試合後には選手も加わって行う統一感のあるバイキングクラップは強く印象に残った。

 Jクラブのサポーターがこのスタイルを取り入れるのは早く、同年にはG大阪や横浜FMがさっそく披露していた。“ガンバクラップ”は勝利後の儀式として、いまではすっかり定着し、浸透もしている。2019ラグビーW杯ではフランスの応援団も披露しており、この応援スタイルは国を越え、競技を越えて確実に広がっている。

 とはいえ、社会人野球を取材中の京セラドーム大阪でお目にかかれたのは不意打ちだった。日本通運の応援席に座る方々がほぼ全員立ち上がり、掛け声を合わせ、両手を掲げてクラップする姿はなかなか迫力があった。徐々に広がっていくビッグフラッグも良い雰囲気を醸し出していた。

 人はなじみある光景に出合うと高揚するもので、自然とニヤニヤしてしまった。なにも知らない人がその表情をみたら、さぞかし気持ち悪かったと思う。ただ、ドームとバイキングクラップは相性が良いなと感じた。正直、そろっていない部分もあって完成度はまだ高くなかったが、音がとてもよく響いていた。参加している方々も楽しそうに頭上で手をたたいていた。バイキングクラップはやって楽しい、見て楽しい応援スタイルなのだなと改めて実感できた瞬間だった。(フリーランスライター・飯塚健司)