2019.11.14 16:44

【サッカーコラム】来季からリーグ戦でもVAR導入、役割はあくまでもサポート役

【サッカーコラム】

来季からリーグ戦でもVAR導入、役割はあくまでもサポート役

特集:
No Ball, No Life
ルヴァン杯決勝、札幌対川崎の延長前半、札幌・チャナティップ(右)を倒し、レッドカードで退場となった川崎・谷口彰悟

ルヴァン杯決勝、札幌対川崎の延長前半、札幌・チャナティップ(右)を倒し、レッドカードで退場となった川崎・谷口彰悟【拡大】

 【No Ball,No Life】ルヴァン杯の準々決勝以降で採用されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)。10月30日には日本協会の審判委員会が決勝の川崎-札幌戦における、VARの検証結果を解説する場が持たれ、扇谷健司トップレフェリーグループマネジャーが判断に至った経緯などを説明した。

 この説明会で取り上げられたプレーのなかから2つのシーンを中心に来季からリーグ戦でも導入される予定のVARについてその考え方などをみていく。まずは、前半29分に川崎DF登里がペナルティーエリア右に侵入を図った際に、札幌MF深井の右足と接触しプレー。ここでは介入が見送られた。この場面、主審は「深井は意図的に足を出しておらず、登里が当たりに行っている」と説明。VAR担当者が映像で確認したところ、深井が相手をひっかけようと右足を出しているのか、ボールに向かおうとして右足が出て、当たったのか映像では判断できず、主審の見解が明らかに間違いとはいえないので、ピッチ脇に置かれたモニターを確認するフィールドオンレビューがVAR側から提案されることはなかった。

 一方でVARが介入したのが、延長前半3分に川崎DF谷口が札幌MFチャナティップのドリブルを阻止しようとスライディングしたシーン。ここでは主審は「谷口の方がゴールに近い」と見解を説明。しかし、映像で確認すると谷口の位置はチャナティップより後。そこで、退場の判断の基準となる4要素、「〔1〕プレーの方向、〔2〕反則とゴールとの距離、〔3〕守備側競技者の位置と数、〔4〕ボールをキープまたはコントロールできる可能性」に明らかな判断ミスがあることからVARは主審にモニター確認を提案。その結果、イエローカードから一転、レッドカードが提示されることとなった。

 2つのシーンの違いについて扇谷マネジャーは「一番大きいのはレフェリーが言っていることと、映像が一致しているか、していないか。登里選手のシーンは自分からぶつかっていったようにも見えるが、谷口選手は明らかに後にいる。それを審判が前にいると見ていた。それが大きな違い」と説明した。

 「(VARは)正しい判定を探すためではなく、明らかなミスをなくすためのもの」と扇谷マネジャー。明らかな間違いには介入するが、グレーなところには介入しない。また、VARは主審をサポートするもので、谷口のシーンでもあくまでも映像をみることを『提案』しただけで、『指示』はしておらず、最終的には主審の判断でモニターを確認。判定の訂正にいたっており、VARが入っても最終的に判定を下すのは主審の仕事だ。

 VARが入るとどうしてもグレーなところを映像によって白黒はっきりさせることを求めたくなるかもしれない。しかし、VARの哲学である「最小限の干渉で最大限の利益を得る」という言葉や介入の判断基準、それら理解して見る側もプレーをする側も、VARに慣れていく必要がある。(山下幸志朗)