2019.7.10 12:00

【サッカーコラム】南米選手権で繰り返されたかもしれない「ロストフの14秒」

【サッカーコラム】

南米選手権で繰り返されたかもしれない「ロストフの14秒」

特集:
No Ball, No Life
南米選手権グループC・第2節ウルグアイ戦の前半、ゴールを決める三好康児

南米選手権グループC・第2節ウルグアイ戦の前半、ゴールを決める三好康児【拡大】

 【No Ball、No Life】開催国ブラジルの優勝で終幕した南米選手権。東京五輪世代の選手を中心に臨んだ日本は、2分け1敗で惜しくも1次リーグ敗退に終わった。

 3戦のなかでも、とりわけ善戦したのが第2戦のウルグアイ戦だろう。優勝候補との呼び声も高かった相手から2点を奪い引き分け。だがそのウルグアイ戦で、どうしても頭から離れないワンプレーがあった。その場面を当事者のDF杉岡大暉(20)のコメントも参考に振り返りたい。

 前半12分。日本は1分半以上もボールを保持した末、CKを得た。MF中島が右から蹴ったボールはグラウンダー。手前で跳ねたボールをFW岡崎がそらす。そのボールにエリアの外、ゴール正面にいた杉岡が左足ダイレクトで合わせた。が、シュートは力なくDFゴディンのもとへ。その瞬間、ウルグアイ選手の矢印がゴールへ向いた。

 杉岡は即座にゴディンへスライディングを仕掛けた。後ろをカバーする味方は皆無。一か八かの無謀なプレーを選択してしまった。投げ出した両足は届かず、杉岡のいない左サイドをFWカバニに駆け上がられた。カバニはワンツーでタッチライン際まで侵入しクロス。中央でフリーのFWスアレスが頭で合わせたが、GK川島の両手に収まり事なきを得た。

 「いや、もう、本当にびっくりしたというか。わかっていたことですけど、本当に速かったなと感じました。CKで攻めているはずなのに、その瞬間が(敵陣に)残っている僕からしたら一番怖かったなってなりましたし。はっきりやらなきゃいけないところだった」

 この場面に話題を向けると、いつも冷静に振り返ってくれる杉岡が前のめりに返答してきたところからも、衝撃の大きさを感じさせられた。

 CKからカウンターを受け、ベルギーに逆転弾を許した2018年ロシアW杯決勝トーナメント1回戦の「ロストフの14秒」。相手も時間帯も、幸い結果も違ったが、CKからカウンターを受け窮地に立たされた点では同じ。ボールを奪われてからシュートまでの時間も同じ14秒だった。あの悔しすぎる失点から1年、国際大会の舞台で同じ状況を突きつけられた。

 欧州ではセットプレー専門の分析官を置くクラブもあり、守備からカウンターへの道筋も分析対象のひとつ。トップレベルは恐るべき速度でピッチの解析と整備が進み、細部のワンプレーにこそ大きな差が宿る。「このレベルを経験できたのは本当に大きな財産。何が足りないのか明確になった」。3戦全てにフル出場した杉岡は、大会後こう言って成長を誓った。戦いの最先端を肌で感じた選手とチームが今後どう変化していくのか。自分自身もそのスピードについていかねばと思わされた、貴重な17日間だった。(邨田直人)