【サッカーコラム】
森保監督に対する選手たちの信頼は厚い【拡大】
【No Ball、No Life】約1カ月におよぶ長丁場のアジア杯が終了した。日本は決勝でカタールに敗れ、惜しくも準優勝。チームが祝杯を掲げる姿を目にすることはできなかったが、代表とともにUAE大会を走りきった経験は、記者人生のなかで間違いなく大きな財産になるものだ。
そんな大会期間中に忘れられない出来事が起こった。日本が決勝進出を決めた翌日、敵情視察にと、もう一つの準決勝、UAE対カタールの試合を見に行った。試合終了後、プレスルームへ戻ろうとすると、同じく視察に訪れていた森保監督にばったり。思わず「決勝、頑張ってください」と頭を下げると、指揮官自ら近づいて「ありがとう」と握手を求められた。
温良恭倹(おんりょうきょうけん)。記者歴2年目、サッカーの現場経験などほぼない新参者に対しても変わらぬ心遣いに感動した。思えば試合前日の記者会見でも「どんな相手に対しても敬意を払うことを忘れない」という言葉を何度も発していた指揮官。代表監督という立場であっても、決しておごらず、一人の人間として尊敬できる人物だと感じた。
選手たちからの信頼も厚い。一人一人との会話を大切にし、選手それぞれに自らの考えを理解してもらおうと尽力する。大会期間中、森保監督と意見をぶつけ合ったMF乾は「ウエルカムな人。コミュニケーションがとりやすい」。本心をみせるからこそ、衝突はなくチーム内に不満もたまらない。
この1カ月間、チームはかつてないほどの団結力で成長を遂げていった。ベテラン選手の影響も大きいだろう。それでもやはり核となったのは、チームの中心にどっしり構える森保監督の存在だった。(原田遼太郎)