2018.10.5 14:57

シティとリバプール それぞれが自分に「ないもの」を持つ因縁の激突

シティとリバプール それぞれが自分に「ないもの」を持つ因縁の激突

シティとリバプール それぞれが自分に「ないもの」を持つ因縁の激突

シティとリバプール それぞれが自分に「ないもの」を持つ因縁の激突【拡大】

 言わずと知れた通り、リバプールとマンチェスターCにとってそれぞれ最大のライバルはマンチェスターUである。前者はイングランドを代表する名門同士として、後者は同じ街に居を構える宿敵同士として因縁の歴史を紡ぎ、サポーターも選手もユナイテッドという大敵に巨大な対抗意識を燃やしている。

 それと比べれば、「敵の敵は友」とでも言うかのように、リバプールとシティの間にはそれほど大きな敵対心があるわけではないし、心からいがみ合っているわけでもない。しかし、それでも互いの存在をどこか“目の上のたんこぶ”だと思っている節は少なからずある。

 ■悲願のリーグ制覇をかっさらわれた因縁の相手

 たとえば、リバプールは近年で最もプレミアリーグ優勝に近づいた2013-14シーズンに優勝トロフィーをかっさらわれた相手がシティだった。

 ルイス・スアレスとダニエル・スタリッジの「SAS」コンビが2人で52ゴールを挙げ、さらに主将のスティーヴン・ジェラードも13ゴール13アシストというキャリアハイの成績を収めたこの年のリバプールは、過去100年間でクラブ最多となる総得点「101」を積み重ね、アタッキング・フットボールを存分に楽しんでいた。4月半ばの第34節では、フィリペ・コウチーニョの決勝点でシティとの天王山を3-2で制した。試合後には、ジェラードがチームメートを集め、円陣を組んで目に涙を浮かべながら熱いスピーチを行い、悲願のプレミア初優勝に向けてまっしぐら……のはずだった。

 ところがその後、かの有名なジェラードの“スリップ”でチェルシー戦を落とし、続くクリスタル・パレス戦では3点リードを奪ったにも関わらずラスト10分で追いつかれ、まさかの失速。結局、きっちりラスト5連勝でリーグ戦を締めくくったシティにタイトルを奪われた。上述した記録的な総得点数でさえ、セルヒオ・アグエロ、エディン・ジェコ、ヤヤ・トゥーレがそれぞれ15ゴール超で総得点を「102」としたシティには敵わなかった。

 長らくリーグ制覇を目標に戦ってきた名門リバプールにとって、千載一遇のチャンスを邪魔されただけでなく、つい数年前に突如としてリーグの中心に躍り出て、喉から手が出るほど欲しいタイトルを次々と獲得していくシティは、嫉妬の対象なのである。

 ■シティが羨む“格”

 一方で、シティが豊富な資金力を武器に世界最高級の選手を集めて強くなっても、クラブに息づく伝統だけはお金で買えない。そして、それを持っているクラブの1つがリバプールであったりもする。世界で最も有名なシティサポーターである元『OASIS』のノエル・ギャラガーが最近、こんなことを言っていた。

 「リバプールのファンはちょっと変なんだ。過度に情緒的っていうか、みんなが自分たちのことを大好きだって思っているところがある」

 「リバプール好きの友人はたくさんいるし、スカウサー(リバプールっ子)のことは好きだが、どうもリバプールFCは癇に障る。きっと70年代から80年代、まだ(本拠地が)メインロードだった頃、いつもうちのホームに来ると1-0や2-0でなく4-0で勝っていき、俺たちを苦しめて帰っていったからだろうな」

 現在の彼のバンド(ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)にもコップ(リバプールファンの愛称)がいるそうだが、ノエルはリバプールが負けて彼らが意気消沈しているのを見ると嬉しくなるらしい。その裏にも、やはりひとつの嫉妬心があると言えそうだ。栄光の時間を長く、丹念に積み重ねることでしか手に入らない、伝統に裏打ちされたクラブの“格”。その部分で、シティはまだリバプールに及ばない。

 それを裏付けるかのように、ピッチ上でもシティはリバプールを大の苦手としている。プレミア創設後、シティが5回以上対戦した相手で最も勝てていないのがリバプール(42試合で8勝15分け19敗、勝率19%)だ。アウェイに限るとその傾向はより顕著で、1勝5分け15敗と勝率はわずか4.8%まで下がる。敵地アンフィールドで勝った最初で最後の試合は、ニコラ・アネルカの2発で2-1と勝利した03年5月3日までさかのぼる。つまり、ビッグクラブへと生まれ変わる契機となった08年の“アラブ革命”以後、シティはアウェイで一度も勝てていないのだ。アラブ資本を手に入れて以降のシティが、3度以上訪れた国内のアウェイスタジアムで勝てていないのはアンフィールドだけ。ホームではリバプール・キラーぶりを発揮するエースのアグエロも、ここではなぜかノーゴールである。まさに鬼門中の鬼門なのだ。

 ■優勝候補筆頭による直接対決

 ここ数年間、ないものねだりで互いをどこか意識しながら、両クラブは色々な意味で「勝っては負け、負けては勝ち」のシーソーゲームを繰り返している。13-14に熾烈な優勝争いを演じた翌14-15は、それぞれがホームで勝って1勝ずつだった。続く15-16にはユルゲン・クロップがやってきて、新生レッズがリーグでは10年ぶりとなるシーズンダブルを達成。だが、ウェンブリーでのリーグカップ決勝ではPK戦の末にシティが勝ち、クロップの初タイトルはお預けになった。

 シティがジョゼップ・グアルディオラを迎え入れた16-17シーズン。ブンデスリーガでのライバル関係がイングランドで復活したこの年は、クロップのリバプールが1勝1分けで勝ち越した。そして昨季は、公式戦で4度にわたり激突。9月のプレミアでは、スタートダッシュを決めていたシティが、前半のうちにサディオ・マネを退場で失ったリバプールを圧倒して本拠地エティハドで5-0の大勝利。だが、そこからはレッズが逆襲を見せ、1月のプレミアではアンフィールドで4-3の撃ち合いを制し、シティにリーグ戦で初めて土をつけ、無敗優勝の可能性を打ち砕いた。続く4月に相見えたチャンピオンズリーグ準々決勝でも、勝ったのはホーム(3-0)、アウェイ(2-1)でともに勝利したリバプールで、シティは悲願である欧州制覇の夢を断たれている。

 これまで、それぞれの意地とコンプレックスを正面からぶつけあい、少なからず互いの存在に刺激を受けながら進歩してきたリバプールとシティ。そんな彼らは今季、ともにプレミアリーグの優勝候補筆頭に数えられ、同じ6勝1分0敗の戦績で首位を分けあった状況で、10月7日の「シックスポインター」に臨む。徐々にだが「プレミアリーグの風物詩」のひとつと言えるビッグマッチに成長しつつあるこのカード。優勝争いに大きな影響を及ぼすであろう今回の一戦は、どのようなドラマが待っているのだろうか。(Goal.com)

 文=大谷駿

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