2015.6.17 12:00(3/3ページ)

【賀川浩観戦記「ロシアへの道」】選手が原理分かっていない 「引いて守る」相手に対して有効なサイド攻撃なかった

【賀川浩観戦記「ロシアへの道」】

選手が原理分かっていない 「引いて守る」相手に対して有効なサイド攻撃なかった

特集:
賀川浩観戦記
パスを出す宇佐美貴史=埼玉スタジアム2002 (撮影・中井誠

パスを出す宇佐美貴史=埼玉スタジアム2002 (撮影・中井誠【拡大】

 2つめは、やはり決定力不足。23本シュートを打って1点も入らなかった。これは監督の問題ではない。選手の問題です。落ち着いて蹴っているか、自分の得意な形で蹴っているか。宇佐美は2度転倒していました。個の力で点を取らないとこういうことになる。選手が練習して精度を上げるしか答えはありません。

 前半3分、本田が打ったミドルシュートは、踏み込んだ右足のつま先がGKに向いていたのでキーパーの正面に飛んでいった。右端を狙う、左端を狙うというキックでなかったため、GKは読みやすい。GKは最初のプレーで読み通りにセーブできると、よくいわれる“当たっている”状態になることが多い。最初に本田のシュートをストップしたイズワンは試合を通じて好守を連発。日本が調子づかせてしまった部分もあるでしょう。

 2015年ブラジルW杯初戦のコートジボワール戦から1年と2日後に始まったロシアW杯2次予選。日本にもし1つミスがあったら、0-1で負けていたゲームでした。いいスタートを切れませんでしたが、これもW杯予選。運不運もある。選手、監督にとってもいい教訓になった。楽なゲームをするよりも最初に苦しんだ方が、発展途上の日本のためになる。長く険しいロシアまでの道を見守っていきたい。

賀川浩 (かがわ・ひろし)

 1924(大正13)年12月29日生まれ、90歳。神戸市出身。神戸一中、神戸大、大阪サッカークラブでFWなどでプレーし、天皇杯準優勝も経験。52年産経新聞社入社。サンケイスポーツ編集局長(大阪)を経て、90年からフリー。今年1月、W杯10大会取材の実績を評価され、日本人で初めてFIFA会長賞を受賞。少年育成も手がけ、日本初のサッカースクールとなる神戸少年サッカースクール、神戸フットボールクラブの創設にかかわる。昨年4月に自身のサッカー関連蔵書が神戸市立中央図書館に寄託され、「神戸賀川サッカー文庫」として公開されている。過去の原稿は賀川サッカーライブラリーで読むことができる。http://library.footballjapan.jp/index.html

  • 初めてW杯予選のピッチに立った宇佐美はキックの空振りで転倒するシーンも(撮影・古厩正樹)
  • 日本-シンガポール前半、宇佐美(左)に指示を出すハリルホジッチ監督=埼玉スタジアム
  • 前半競り合う宇佐美=埼玉スタジアム2002(撮影・松永渉平)
  • 前半競り合う宇佐美(左)、本田=埼玉スタジアム2002(撮影・山田俊介)
  • 後半、倒れ込む本田圭佑(中央)=埼玉スタジアム2002(撮影・古厩正樹)
  • 後半、槙野智章のヘディングえを防ぐシンガポールGK・イズワン・マフブド=埼玉スタジアム2002(撮影・古厩正樹)
  • 試合後、長友(右)に励まされる本田=埼玉スタジアム2002(撮影・松永渉平)
  • 前半シュートを外し悔しがる岡崎=埼玉スタジアム2002(撮影・松永渉平)
  • 前半競り合う岡崎慎司=埼玉スタジアム2002(撮影・松永渉平)