これが新生ニッポン!森保監督3発船出、初陣史上最多得点0封勝利

 
選手の軽快な動きに親指を立てる森保監督。その手にはペンが握られていた(撮影・鳥越瑞恵)

 キリンチャレンジ杯(11日、日本3-0コスタリカ、パナS)国際連盟(FIFA)ランキング55位の日本が同32位のコスタリカに3-0で快勝し、森保一監督(50)の初陣を白星で飾った。東京五輪代表監督を兼務する同監督にとって、“おっさんジャパン”といわれたW杯ロシア大会からチームの若返りは与えられた使命。W杯直後では初めて就任した日本人監督が、フレッシュな“お試しジャパン”を率いて新たな歴史の扉を開いた。

 フレッシュな風を背中に感じた。グイグイと前に進む爽快感。紺色のスーツに身を包んだ50歳の森保新監督は、若き侍たちに敬意を表した。

 「選手が短いトレーニング期間の中、よく準備してくれた。粘り強く戦ってくれました」

 20歳でA代表デビューだったMF堂安は技巧を見せ、23歳のMF南野は力強さ、24歳のMF中島はドリブルで抜群の切れを披露。それぞれの武器を連動しながら発揮した。前半39分の南野のシュートや、後半21分の2点目など小気味よい崩しは若さの象徴だった。守ってもDF槙野を中心に、相手を完封した。

 ベンチ入り22人の平均年齢は25・3歳。「おっさんジャパン」といわれたW杯ロシア大会から3歳若返った。国際Aマッチ出場歴が2桁に満たない選手も先発に8人いた。その分、「お試しジャパン」といわれる今回の日本代表。経験の少ない選手に対し、森保監督は試合前に2つのポイントを伝えた。「自分の良さを最大限に発揮すること」、そして「自分の良さを発揮するために周りと支え合い、つながり合ってプレーすること」。

 北海道での合宿中に地震に遭い、実戦的な練習は不足気味だった。練習で詰められなかったことは話し合って補う。W杯直後では初めてとなる日本人監督は、自らもスタッフとして戦い、16強入りしたW杯での経験をチームに還元した。

 国際Aマッチ初陣での3-0勝利は、無失点勝利としては日本史上最大点差の快挙だ。「これだけのメディアの数とサポーターの応援。そこは自分にとっても特別でした」。飾らない人柄が選手、そしてサポーターの共感を呼んだ。ある選手は「今回の合宿でも食事の時間などで気軽に会話できた。監督である前に兄貴」と明かす。気になることは必ずメモを取る“メモ魔”でもあり、この試合でも熱心にペンを走らせた。

 8月に正式就任し、2020年東京五輪監督との兼任という重責を担う。五輪でのメダル獲得のためにもA代表の底上げは急務。ピッチにはMF香川、FW大迫、DF長友もいない。10月の代表戦には欧州の主力組を招集する可能性も示唆している。競争を激化させ五輪、そして22年W杯カタール大会につなげていく。

 「自然災害で被災した方々へ勝利を届けられてよかった」

 地震や台風が続いた日本を勇気づける初陣。新指揮官は、すべての人に感謝し、さらなる飛躍を遂げる。 (宇賀神隆)

国際Aマッチ初出場のMF天野「練習から試合に出るアピールを続けていた。出られたことは収穫になった」

初出場のMF守田「緊張はしなかった。デビューできたので次も呼ばれたら、定着に向けてやっていきたい」

日本協会・田嶋幸三会長「ミスを恐れず、どんどんトライしてくれた。森保監督の気持ちや考え方もよく分かる試合だった。競争が厳しくなったんじゃないか」

コスタリカ・ゴンサレス監督「われわれにとっては非常に難しい試合。日本はダイナミックでスピードがあるプレーを見せ、勝利にふさわしかった。新しいステージをいい形でスタートが切れたのではないか」

★北海道での地震発生からの日本代表

 ◆9月6日 午前3時8分、地震発生。札幌ドームで予定されていたチリ戦(7日)に向けた公式会見と公式練習が中止。その後、チリ戦の中止も正式決定。

 ◆同7日 午後3時30分から札幌市内で約1時間半、紅白戦などで調整。4バック布陣を試した。練習後には観戦に訪れたファンと記念撮影を行った。

 ◆同8日 午前10時30分から札幌市内で約1時間、ランニングなどで調整。7日に新千歳空港が復旧し、予定通り午後5時に空路大阪入りした。

 ◆同9日 午後5時30分から約1時間の調整。冒頭15分以降は非公開として紅白戦を行った。札幌合宿から引き続き、4バックの布陣を試した。

 ◆同10日 午後5時30分から約1時間、試合会場となるパナSで公式練習。非公開となった冒頭15分以降は紅白戦を行った。

データBOX

 ◎…森保ジャパンが3-0で勝利。日本代表新監督では、国際Aマッチ初陣での無失点勝利の最多得点記録。今まではオシム監督とハリルホジッチ監督の2-0が最高だった。
 ◎…日本代表監督国際Aマッチ初采配での最多得失点差勝利は、鈴木重義監督が指揮した1930年5月25日のフィリピン戦で5点差(7-2)。次いで二宮寛監督の4点差(5-1)。森保監督の3点差(3-0)は史上3番目。
 ◎…日本代表の無失点勝利はハリルホジッチ監督体制で、国内組のみだった2017年12月9日の東アジアE-1選手権の北朝鮮戦(1-0)以来。

森保 一(もりやす・はじめ)

 1968(昭和43)年8月23日生まれ、50歳。長崎市出身。広島、日本代表などでMFとして活躍し、2004年に現役引退。12年に広島の監督に就任。J1優勝3度、最優秀監督賞3度(ともに12、13、15年)。17年7月に成績不振のため退任した。同10月に20年東京五輪を目指すU-20(現U-21)日本代表監督に就任。今年4月からは兼任で日本代表コーチを務めた。同8月に日本代表監督に就任。現役時のサイズは1メートル74、68キロ。

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