東京五輪世代の若武者に共通するもの…欧州で得た自信引っさげコスタリカ戦

提供:Goal.com
東京五輪世代の若武者に共通するもの…欧州で得た自信引っさげコスタリカ戦

 ■堂安・伊藤・冨安に共通するもの

 「“本チャン”のメンバーがいないとか言われていますけれど、日本を代表して戦っているのは一緒なので」

 淡々とした口調の中であっても隠せぬ感情がこもって語気が少し変わる。堂安律らしい語り口から出てきた言葉は、プライドそのものだ。

 「世代融合」を掲げる森保一新監督の下に集まってきた23人のうち、堂安、冨安健洋、そして伊藤達哉の3人は1997年以降に生まれた東京五輪世代の選手たちだ。ただ、彼らが自分自身を「お客さん」のように考えている雰囲気は微塵もない。

 「一緒にやったことのある選手はほとんどいない」というのは三人から共通して聞かれたワードだが、練習から臆した様子を見せることはなく、積極的に絡みにいっていたのも印象的だ。若くして欧州の舞台に渡っていった彼らからすると、「ここは日本語でコミュニケーションが取れるので」(伊藤)、難易度はむしろ低いくらいなのかもしれない。

 そう、性格的にはまるで違う印象の三人で、堂安が関西、冨安が九州、伊藤が関東と育った土地柄も大きく違う。ただ、ティーンエイジのうちに海を渡る決断を下したのは同じである。共通するのは「もっと上手くなりたい」というマインドを強烈に持っていることであり、そのためにチャレンジャーとして上のレベルに挑んでいく大切さを知っていることだ。そして欧州での日々を自信にしている点も、共通している。

 「得点のところはまったく(日本にいたときと)感覚が違います。結果を残さなければ日本に帰ってプレーしなければいけないという契約の話もありました。そこは生きるか死ぬかのところで戦ってきた分だけ培われた大事な力」(堂安)

 「縦にぶち抜けるときの感覚は(欧州で戦う中で)身に付いたもの。リスクを冒して相手をはがして、クロスかシュートまで持って行けるところは、僕の勝手なイメージですけど、日本人の選手ではそんなにないものを持っていると思っている」(伊藤)

 「ベルギーでも、1対1の守備というのは絶対にJリーグでやっていたときより回数も重ねられているし、個の力がある選手もいるので、自信を持てるようになってきています」(冨安)

 強化試合が1試合に減ってしまったことで「多くの選手を観てみたかった」という森保構想はすでに破綻してしまった。出番があるかどうかは不透明だが、「呼ばれたからにはチャンスがあると思っている」(冨安)という姿勢は貫いている。

 ■堂安:特別な場所で成長した姿を見せる

 今回のコスタリカ戦で会場となるパナソニックスタジアム吹田は、ガンバ育ちの堂安にとって「懐かしい」特別な場所だ。札幌で試合がなくなったことを惜しみつつも、「ポジティブに捉えるなら、大阪でデビューできるチャンスがある」と前向きに語っていた。本人がポジティブに語るように、紅白戦では主力組に入るなど、先発の可能性は十二分にある。

 「ガンバのサポーターが多く足を運んでくれると思いますし、もしかしたら僕が中学のときから応援してくれているような方も観ていてくれるかもしれない。そういう人たちから『逞しくなったな』『大きくなったな』と思ってもらえるようなプレー、風格を見せたい」(堂安)

 かといって、一人で勝手にアピールプレーに走るつもりは毛頭ない。「悪いときは一人で全部行っちゃうクセもある」と認めるとおり、強い感情が裏目に出て視野が狭くなって“突撃プレー”になってしまうのは「悪い堂安」。ただ、「最近そういうのはなくなってきている」と語るように、周りを使って自分も生きる、「一人で行くより数人で崩したほうが簡単」だという彼本来の良さを表現することが何より大事になる。

 そう語る背景には、もう一つの思いもある。

 「個人にフォーカスしたらダメだと思いますし、自分と同じポジションの選手がいたとしても、チームとして(戦う)。ましてや今の日本の状況がある。こうやって震災もあった中での試合を通じて自分たちが示さないといけないのは、個人も大事ですけれど、まずチームとして結果を出すところだと思う」

 こういう言葉が自然と出てくること自体、堂安を昔から知る人にとっては「大きくなったなあ」という感慨を抱かせるものだろうが、選手としての割り切り方にも成長がある。

 だからといって、“堂安らしさ”が失われているわけでもない。どういうときに結果を出せるのか。そんな問いをぶつけられると、試合に向けた変わらぬ心構えを語ってくれた。

 「(良いプレーができるのは)あまり考えすぎずにプレーしたときですよね。今日の夜とかも、考え過ぎちゃうと眠れなくなる。『平常心』と思い過ぎちゃうと平常心でなくなる(笑)。いつもどおり、日本食楽しんで夕食を食べて、気持ち良く寝てっていう日にして、試合を迎えたいですね」

 代表戦のプレッシャーは独特だ。いざピッチに立ってみないと分からない景色が必ずある。ただ、心理的な準備については、すでに終えているように見えた。

 それは冨安にしても伊藤にしても同じだろう。伊藤には札幌での合宿で「途中出場なら?」という質問をぶつけてみたのだが、それについてもすでに明確なイメージを持っていて、「100かゼロ」の心意気で勝負するとのことだった。

 4年後に向けてのリスタートとなった新生・日本代表。1試合に減ってしまったキリンチャレンジカップは、東京五輪世代の若武者たちにとっても未来を懸けた大切なチャレンジの場となる。

 取材・文=川端暁彦(Goal.com)

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