“騒動”=「助走」のチャンス

池田純 S-Businessの法則

 サッカー日本代表のハリルホジッチ監督が解任されました。ただ皆さん、もう忘れそうではありませんでしたか?

 元日本代表の中田英寿氏と話した際、彼も言っていたのが「遅すぎる」ということ。今大会で良い結果が出たとしても、次も2カ月前に監督を解任するわけにはいかないでしょう。経験、実績として何も積み上げられないように思います。

 一方で“経営者目線”で見ると「もったいない」の一語に尽きます。スポーツ紙の1面を飾り、テレビのワイドショーに取り上げられ、サッカーが意識の外にあった人たちまでもが意識するようになった。盛り上がりに乏しい中、W杯へ絶好の「助走」となる機会を得たのです。

 私なら“騒動”をチャンスと捉えます。西野朗新監督がW杯をどう戦うつもりなのか、選手が何を考えているのか、情報を出しまくり、世間の関心を呼び起こします。例えば、監督と選手の面談を「You Tube」で配信したり、ユニホームを再度変更して“決意”を印象付けたりしてもいいかもしません。

 注目、期待はグラウンド上での結果にもつながります。球団社長を務めたプロ野球DeNAでは、横浜スタジアムに閑古鳥が鳴いていた当初、選手がミスをするとやじが飛んでいました。期待されなければ、人間は「駄目でも仕方ない」と思うもの。けれど、満員の状態で結果が出ないと、やじがため息に変わります。数万人という観客のため息はこたえます。

 筒香嘉智選手が「これだけ、お客さんが入った。次は俺たちの番」と言ってくれたことがありました。注目、期待は勝利へのモチベーションとなり、火事場のばか力を生みます。現在のDeNAの躍進を見ても、それは明らかでしょう。

 米アップル社が、いい手本です。楽しみを提供し続け、意図的にも思える次期製品のリークなど「次は何をやるんだろう?!」という消費者の期待をさまざまな手法で高めています。その「助走」期間があるからこそブームは長く続き、スパイラルが生まれる。それは、スポーツの世界も同じです。「次は何をやるんだろう?!」の好循環に持ち込むことが鍵なのです。 (随時掲載)

池田 純(いけだ・じゅん)

 1976(昭和51)年1月23日生まれ、42歳。横浜市出身。鎌倉高、早大商学部を卒業後、住友商事、博報堂などを経て2007年にディー・エヌ・エーに執行役員として参画。11年12月にプロ野球DeNAの初代球団社長に就任し、16年10月に退任。現在はスポーツ庁参与、スーパーラグビー・サンウルブズCBO、明大学長特任補佐、さいたま市スポーツアドバイザーなどを務める。

Read more