【ネクストスター候補(11)】「才能はない」“二世”畠田瞳は努力で極める/体操 - SANSPO.COM(サンスポ)

【ネクストスター候補(11)】「才能はない」“二世”畠田瞳は努力で極める/体操

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畠田瞳(右)は妹の千愛とともに練習に励み、姉妹で五輪出場を目指す(アミューズ提供)  体操女子で成長著しい畠田瞳(19)はサラブレッドとして知られる。父は五輪メダリストで日体大監督の好章氏(48)で、母は元ユニバーシアード代表の友紀子さん(46)。妹の千愛(ちあき、16)=ともにセントラルスポーツ=と2人でコーチの母に師事し、来夏の東京五輪を目指している。二世としての才器に頼らず、努力で道を切り開く。(取材構成・鈴木智紘)

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 体操選手になるきっかけは、漫画家の藤子・F・不二雄さんが与えてくれた。小学2年の頃、「ドラえもん」を手掛けた作者の人生を道徳の授業で学んだ。「漫画一本で頑張って、すごい人になれたんだなって」。畠田瞳はその日、学校から帰宅した玄関で友紀子さんに競技を始めたいと告げた。

 水泳、空手、サッカー、英会話、ピアノ。幼少期は多いときで週5日も習い事に励んだ。好章氏の職場に付いていき、トランポリンで遊んだこともあった。無限の可能性を秘めた少女は、ペン1本で数々のヒット作を生み出した漫画家の生き方を自らの人生に置き換え、将来を思い描いた。

 「自分がすごい人になる場合に何があるかを考えて、身近にあった体操が一番に思えたんです」

 中学2年から母に師事し、つま先まで美しく伸ばすという細部への意識から見直した。基礎の反復に心は折れかけた。一日1本を課していた平均台の技の通し練習は、5本に増加。「瞳は小さい頃から素直に人の話が聞ける子でした。失敗が怖いから、納得するまで回数を重ねる」と友紀子さん。身長156センチの細身の体から堅実に技を繰り出す。昨年はユニバーシアードで得意の段違い平行棒を含めた4冠に輝き、世界選手権で日本の主軸を担った。

 「優れた才能はない」と言い切る。対照的に妹の千愛は天才肌。13歳のときに出場した試合の床運動で、G難度の「後方伸身宙返り4回ひねり」に挑んだ。男子の白井健三(日体大大学院)の名を冠する「シライ/ニュエン」と同じ大技。「高難度の技を短期間でできるようになったら、どれだけ楽だろうと思います。自分がトップにいくには失敗しないこと。安定性が高い演技をするには練習量が必要」。技の精度を生命線とする姉の言葉に実感がこもる。

 「うまくいかないと楽しくない。大変だよと(始めた頃に)話した」と好章氏。けがと隣り合わせで体重管理も過酷。それでもサラブレッドは「不器用」という自分と向き合いながら、人一倍時間をかけて技を磨いてきた。「二世といわれるのが嫌とよく聞くけど、私はありがたいと思っています」。一家4人がそれぞれの立場で、東京五輪に名を刻む日を夢見る。

 9月1日で20歳。女子選手としての円熟期に差し掛かる。「この年になると大きくレベルアップできない。経験者にしか出せない安定性を出していきたい」。体操一本を極める道を、ひたむきに歩む。


 【一問一答】

  --東京五輪が延期に

 「今年が一番いい状態だったように思います。現実的に五輪が見えていたのでショックでした」

 --開催を危ぶむ声も

 「はっきり言わせていただくと、やらないなら今すぐやらないと言ってほしい。やるんだったら絶対にやってもらいたいです。今年のこともあるので、(決定内容によっては)モチベーションがずたぼろになってしまいそうです」

 --状態が良かった

 「今年2回目の試合だった(3月の)アメリカン杯で、本格的に五輪の個人枠を取りにいきました。満足できる結果を出せて、代表に選ばれるアピールになったと思っていました」

 --その後は試合がなくなった

 「すごくモチベーションが下がりました。何のために練習しているのか分からなくなった時期もありました」

 --外出自粛期間の練習は

 「(所属する)セントラルの目黒(にある競技場)で、時間制限がある中、練習させてもらいました。いつでも試合でできるようにしていたのと、新しい技の練習をしていました」

 --次戦は9月の全日本シニア選手権

 「まずはミスなく。口癖なんですけど。(2月に今季初戦に臨んだ際にも)1年間ミスしないという目標を掲げたので」

畠田 瞳(はたけだ・ひとみ)

 2000(平成12)年9月1日生まれ、19歳。東京都出身。日体大荏原高から早大。セントラルスポーツ所属。昨年は全日本選手権3位。NHK杯2位。ユニバーシアード夏季大会4冠。世界選手権の個人総合17位。156センチ、48キロ。

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