【TOKYO2020カウントダウン】AS“新しい様式”で再出発 乾主将「五輪への思い強くなった」 - SANSPO.COM(サンスポ)

【TOKYO2020カウントダウン】AS“新しい様式”で再出発 乾主将「五輪への思い強くなった」

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18年ジャカルタ・アジア大会でデュエット・フリールーティンを演技する乾(右)と吉田。乾が日本を引っ張る  新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京五輪に関連する選手や、気になる事象を掘り下げる連載(随時掲載)。アーティスティックスイミング(AS)日本代表主将の乾(いぬい)友紀子(29)=井村ク=がこのほどサンケイスポーツのオンラインインタビューに応じ、先月20日に代表合宿を81日ぶりに再開したことを報告。メダル獲得に向け、練習時間の短縮など“新しい様式”を取り入れて再出発した。(取材構成・角かずみ)

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 「こんなに長い間、会えなくなるとは思っていなかった」

 6月20日、AS日本代表の練習拠点、東京・北区の国立スポーツ科学センター(JISS)で、乾ら代表内定選手8人が81日ぶりに集合した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月31日に代表チームは解散し、関西と関東に分かれての個別練習が続いていた。乾は仲間との約3カ月ぶりの再会を喜んだ。

 「(久しぶりに会って)すごく活気があって、全員で練習ができるありがたみを感じた。今回の事態を乗り越えたことで、今までより五輪に対する思いが強くなった」

 井村雅代コーチ(69)の指導の下、猛練習で知られるASの合宿はコロナ禍で一変した。代表合宿は、ウイルスの感染拡大を防止するために策定されたガイドラインに沿って実施された。期間は制限され、6月25日までのわずか6日間。練習時間も午前、午後3時間ずつにとどまった。コロナ禍前の合宿と比べ、ほぼ半減という短さだ。現在は今月3日から始まった第2回の合宿中だ。

 ウエートトレーニング場は、他競技の選手も出入りする共有スペースのため、使用禁止。AS専用プールの脇にダンベルなどのトレーニング機器を急きょ運び入れた。乾主将を中心に、メンバーは“新しい練習様式”に適応した。

 「不自由な部分も多少はあったけど(練習プールが確保できず、底の)浅いプールで練習もしてきた。広いプールが使えるのは幸せなこと」

 3月24日、今夏に迫っていた東京五輪の1年延期が決まった。乾にとって3度目の五輪は、30歳で迎えることになった。

 「延期が決まる前の方が不安だった。今はなんのために練習しているんだろうって。先が見えなくて、体力がもつか心配で、精神的にも練習に支障が出ていた。それでも井村先生に相談したら『あなたなら大丈夫です。まだやれます』って。先生のその一言で気持ちを切り替えられたので、延期のニュースもすんなり受け入れられた」

 外出自粛の期間中は、実家が所属クラブのある大阪にない乾、吉田萌(25)、福村寿華(じゅか、24)、木島萌香(20)の4人で部屋を借りて共同生活した。プールへの送迎や食材の買い出しは、井村コーチや所属クラブの父母が手伝ってくれた。

 「(部屋に)洗濯機がなくて、井村先生が私たちの洗濯もしてくれた。『楽しく過ごせるように』って、たこ焼き器やパン焼き器も持ってきてくれて。私たちも先生のお弁当を作ったり。大変な時期にずっとそばにいてくださったのは支えになった」

 五輪の1年延期は決まったが、大会の見通しは立っていない。現在はプログラムのテーマを変えず、ハイライト(リフト)のシーンを増やすなど、内容に手を加えている。

 「もちろんメダル獲得を目標にやっている。(昨夏の世界選手権でメダルを逃すなど)厳しい状況ではある。最後にドンと挽回できればいい」

 メンバー8人が密集して泳ぐAS。3密(密集、密接、密閉)を防ぐ新しい練習環境にいち早く順応した先に、2大会連続の表彰台が見えてくる。

★東京五輪のAS

 新設された東京・江東区の東京アクアティクスセンターで行われる。デュエット、チームとも五輪で5連覇中のロシアが金メダル筆頭候補で、中国が続く。日本のメダル争いのライバルはウクライナで、2016年リオデジャネイロ五輪ではウクライナを僅差で振り切り、両種目で銅メダルを獲得した。19年世界選手権ではウクライナにすべての種目で敗れ、メダルを逃している。

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