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【サンスポ×日体大】飛び込み一家・坂井丞、メダル1号の野望

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茨城国体に向けて山新スイミングアリーナのプールで練習していた坂井丞と、父でコーチの弘靖さん(右)、母・由美子さん。親子鷹で東京五輪でのメダル獲得を目指す=茨城・ひたちなか市(撮影・長尾みなみ)  2020年東京五輪開幕まで、28日で300日。出身大学別で最多62人の夏季五輪メダリストを輩出している日体大とコラボレーションした長期連載の第19回は、全競技を通じ、個人での「東京五輪内定1号」となった飛び込みの坂井丞(しょう、27)=ミキハウス=を特集する。15年卒の坂井をはじめ、家族全員が日体大出身で飛び込み経験者。大舞台で日本の飛び込み界メダル1号を目指し、ダイブする。 (取材構成・角かずみ)

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 7月13日、韓国・光州で開かれた水泳の世界選手権。坂井が寺内健(39)=ミキハウス=と組んだ男子シンクロ板飛び込み決勝で7位に入った。水連の定めた8位以内との選考基準をクリアし、2020年東京五輪代表を決めた。全競技を通じて、日本勢で個人第1号の東京五輪代表に決まった。

 「周りから応援してもらっていて、(東京五輪に)出なきゃいけないという気持ちが強かった。安心したというのが一番で、もちろんうれしかった」

 飛び込みの申し子だ。坂井が飛び込みを始めたのは、両親の影響が最も大きい。父でコーチの弘靖さん(57)と母・由美子さん(57)はともに日体大で飛び込みを経験。引退後はコーチとして後進の育成に努め、指導場所は日体大の横浜・健志台キャンパスにある飛び込みプールだった。坂井はもちろん、1歳上の姉、由稀那さんと3歳下の妹、莉那さんはプールが遊び場で、坂井は歩き出した頃から両腕にヘルパーをつけてプールの端を泳いでいた。2歳半には1メートルの板からダイブ。3兄弟にとって飛び込みは「生活の一部」だった。

 飛び込み一家の坂井家。練習の出来が家族内の雰囲気に影響することもしばしばで、怖がりの坂井が練習でうまく飛べないと、食卓にご飯が並ばないこともあった。プールと家との切り替えが大変だったという由美子さんは「人間だからそうそううまくいかない。機嫌が悪かったこともあったと思うし、子供たちはすごく嫌だったと思う」と当時の厳しい指導を振り返る。坂井は「生活の中に練習があったからこうなれた」と両親に感謝する。

 日体大卒業後に初出場した2016年リオデジャネイロ五輪の男子3メートル板飛び込みは22位で予選落ち。東京で迎える2度目の五輪。観戦チケットは弘靖さん、坂井、莉那さんが応募した全ての席で当せん。自国開催の大舞台で、大応援団が背中を押してくれる。

 「シンクロは『ワンチャンある』と思っている。シンクロでなんとかメダルを取りたいという気持ちが強い」

 今夏の世界選手権は決勝で7位だったが、予選は2位に食い込んだ。技の難度を少しでも上げられれば、メダルは夢物語ではない。日本飛び込み界での五輪最高順位は4位。日本勢初のメダルへ、飛び込み一家の思いを乗せて飛ぶ。

★日体大水泳部「みんなでワイワイ」

 日体大水泳部(飛び込みブロック)は、温水プール設備の整った横浜・健志台キャンパスのプールを主な練習拠点とし、監督とコーチ、外部コーチの計4人で指導する。82年同大卒業後から長年指導する増岡啓彰コーチ(60)は「飛び込みは、コーチと選手が1対1で練習している環境が多いけれど、みんなでワイワイと競い合いながらできるのが日体大のいいところ」と好成績を残している要因を明かした。

★坂井家の教え

 母・由美子さんが坂井の飛び込みの基礎を作った。小学4年時には全国大会で優勝するほどの腕前に成長し、中学2年では世界ジュニア選手権の代表入り。この時点で父・弘靖さんの指導がメインとなった。坂井は「お母さんが基礎、お父さんが(飛び方などの)種目、その補足をいろんなコーチがしてくれた」と振り返る。

 坂井家では、飛び込みだけでなく、テニスやバスケットボールなどさまざまなスポーツを幼少期から体験させ、外が暗くなるまで遊ばせた。多くのスポーツを体験することで、飛び込む際に体全体を使い、どんな動きにも無意識に対応できるようになった。

 2016年リオデジャネイロ五輪の前年に弘靖さんが十二指腸炎で緊急入院したことなどから現地入りできなかった。弘靖さんは「東京はサポートしたいという気持ちがある」。由美子さんは「2人(弘靖さんと坂井)で五輪に行くのは家族の夢。とにかく家族みんなで応援したい」と息子にエールを送った。

★日体大水泳部(飛び込みブロック)

 水泳部は1901(明治34)年、飛び込みブロックは1955(昭和30)年創部。男子1メートル板飛び込みで日本選手権7連覇の宮本基一郎や、女子高飛び込み同選手権3連覇を2度マークした浅田雅子ら強豪選手を多く輩出。日本学生選手権は男女合わせて計45回の優勝を飾り、2019年は女子が3連覇を達成した。

★飛び込み・東京五輪への道

 日本水連は〔1〕今夏の世界選手権12位以内、シンクロ種目は8位以内〔2〕9月のアジア杯優勝〔3〕来年4月のW杯東京大会18位以内を東京五輪代表選考の基準としている。〔1〕〔2〕は既に終了。残るは来年2月の国際大会派遣選手選考会で日本代表となり、4月のW杯上位18位以内で東京五輪代表に内定する。坂井は〔1〕でシンクロ3メートル板飛び込み代表を決めており、〔3〕で残り1枠となった個人の3メートル板飛び込み代表を狙う。

★坂井丞(さかい・しょう)という男

 ◆生まれ 1992(平成4)年8月22日生まれ、27歳。神奈川・相模原市出身。

 ◆経歴 物心ついた頃から競技を始め、小学4年時に全国大会初優勝。麻布大学付属渕野辺高時は高校総体の3メートル板飛び込み、高飛び込みの両種目で3連覇。日体大1、3、4年時の日本学生選手権3メートル板飛び込み優勝。14年仁川アジア大会の3メートル板飛び込み、18年ジャカルタ・アジア大会のシンクロ板飛び込みで銅メダル。

 ◆飛び込み一家 父でコーチの弘靖さんは小学5年から飛び込みを始め、日体大を84年に卒業。同年のロサンゼルス五輪日本代表選考会に出場も敗退し、24歳で現役引退。現在は神奈川ダイビングクラブのコーチ。母・由美子さんは日体大1年時から競技を始め、2年時には日本選手権に出場。卒業と同時に神奈川県飛び込みブロックのコーチとなり、現在もスポーツ指導員として飛び込みの普及に努める。1歳上の姉、由稀那さん、3歳下の妹、莉那さんも飛び込み経験者。

 ◆母校愛 父と母は日体大の同級生。姉、妹も日体大卒。

 ◆好きな食べ物 肉。

 ◆好きな飲み物 ミルクティー。遠征時にも粉で持参し、砂糖をまぜて飲む。

 ◆苦手な食べ物 かぼちゃ、なす。

 ◆パパ 3歳と1歳の男の子の父。

 ◆サイズ 171センチ、61キロ。

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