【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】自覚の欠如が竹田会長の引き際を誤らせた - SANSPO.COM(サンスポ)

試合
速報

【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】自覚の欠如が竹田会長の引き際を誤らせた

更新

理事会終了後、取材に応じる竹田会長。6月の任期満了で退任を表明した=東京都渋谷区(撮影・納冨康)  遅きに失したと言わざるを得ない。ようやく、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が任期満了となる6月で退任すると表明、合わせて74歳まで定年延長されている国際オリンピック委員会(IOC)も辞任するという。

<< 下に続く >>

 しかし、これによって招致時の贈賄疑惑で損なわれた2020年東京オリンピックのイメージは取り戻せるのか。

 フランス司法当局の捜査対象となって以降、竹田氏の振る舞いに人心は離れている。1月の記者会見はわずか7分、質問を受け付けず説明不足は逆効果となった。身柄拘束を恐れてか、国際会議の欠席が続いて業務は停滞、国内の会議からもその姿が消えて久しい。

 もはやIOC委員としても、組織のトップとしても職責を果たしているとはいえない。イメージ悪化を恐れるIOCからは「竹田降ろし」の意向も示され、進退窮まった末の表明である。

 それでもまだ、認識は甘くないか。竹田氏は、途中辞任では容疑を認めたことになると任期満了にこだわる。捜査の進展次第では5月にもフランス司法当局が訴追する可能性が否定できないなかで、それですむのか。

 10期19年、長期にわたる会長在任が危機意識の希薄さを招いたといってもいい。ただ、原因はJOCにこそある。

 スポーツ界は相次いだ不祥事からガバナンス強化が求められている。役員の定年厳守は必須である。ところが統括組織であるJOCの幹部が率先して「20年は竹田体制」と続投を求め、規定の変更を口にする。スポーツ界を統括する自覚の欠如が事を大きくし、竹田氏に引き際を誤らせたといえるのではないか。

 JOCは1989年、80年モスクワ大会ボイコットをめぐる政治介入を機に、日本体育協会(現・日本スポーツ協会)から分離独立。開かれた組織を目指してきた。

 しかし、いつしか設立当時の精神は薄れ、存在価値すら問題視される。今回の問題を奇貨として組織の体質改善をはからなければ、いずれ再統合の憂き目に遭おう。

佐野 慎輔(さの・しんすけ)

 1954(昭和29)年生まれ、64歳。富山・高岡市出身。早大卒。スポーツ記者歴30年。五輪を5大会取材。産経新聞運動部長やシドニー支局長、サンケイスポーツ代表などを経て、2014年6月から現職。日本オリンピックアカデミーや笹川スポーツ財団の理事も務めている。

PR