【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】若者人気を過剰に意識してはいまいか - SANSPO.COM(サンスポ)

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【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】若者人気を過剰に意識してはいまいか

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 それにしても若者人気を過剰に意識してはいまいか。東京の次のオリンピック、2024年パリ大会の追加種目に関して、国際オリンピック委員会(IOC)の前のめり姿勢を“ジイさん世代”はいぶかしく思う。

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 パリ大会組織委員会は2月、東京で初採用されたスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの3競技に加え、新たにブレークダンスを提案した。3月下旬に開くIOCプログラム委員会、理事会で審議、6月の総会で承認をめざす。

 最終的には東京大会での実施状況も考慮して、来年12月の理事会で決定する。まず、異論なく決まることだろう。

 ブレークダンスはヒップポップの軽快な音楽にのり、対決形式で踊りを披露する。米国ニューヨークのストリート文化であり、「都市と若者」を象徴するひとつとなっている。日本には100万人を超える愛好者がいるとされ、東京の街中でも目にする機会は多い。

 昨年のユース・オリンピック(ブエノスアイレス)では、会場となった市内中心部の公園が大いに盛り上がったと聞く。

 昨今、3人制バスケットボールやスケートボード、自転車BMXフリースタイル・パークなどストリート発祥の「都市型スポーツ」が公式競技として採用されている。いずれも、大がかりな競技場を必要とせず、「開催都市のコスト削減と若者参画」をめざすIOCの意向と合致している。

 しかも音楽やファッションなどとの融合も楽しめ、新たな市場開拓も期待できる。オリンピック・ビジネスの救世主たり得るかもしれない。

 ただストリートダンスを承認するうえで、スポーツ性が気になる。主観を伴う採点種目は新体操やアーティスティック・スイミング、フィギュアスケートなどもあるが、さて、どこまで身体能力と芸術性などを明確に審査できるか。基準が重要になる。彼らの文化がオリンピックに合うのか、それも気がかりだ。

 ジイさん世代としては彼らの進出で、長く続く伝統スポーツが阻害されつつあることがつらい。

佐野 慎輔(さの・しんすけ)

 1954(昭和29)年生まれ、64歳。富山・高岡市出身。早大卒。スポーツ記者歴30年。五輪を5大会取材。産経新聞運動部長やシドニー支局長、サンケイスポーツ代表などを経て、2014年6月から現職。日本オリンピックアカデミーや笹川スポーツ財団の理事も務めている。

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