【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】贈賄疑惑のJOC竹田会長「70歳定年」どう決断 - SANSPO.COM(サンスポ)

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【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】贈賄疑惑のJOC竹田会長「70歳定年」どう決断

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 組織トップの引き際ほど難しいものはない。短ければやりたいことはできず、長すぎれば必ず規律は緩み空気はよどむ。

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 任期を設け、定年制を敷くのは「権力必腐」を防ぐ自浄装置である。

 国際オリンピック委員会(IOC)会長の座に21年間君臨したファン・アントニオ・サマランチ氏を思い出す。

 オリンピックに、独占放送や1業種1社に限るスポンサー(IOCではパートナーと呼ぶ)契約を導入して瀕死(ひんし)のIOC財政を蘇生(そせい)。今日のオリンピック運動とIOCの繁栄を築いた。「オリンピック中興の祖」といっても過言ではない。

 民間資本導入による財政の安定により、競技大会を地上最大のイベントに育てた。一方、巨大化は開催都市の負担増を招き、招致をめぐる疑惑は絶えず続く。怪しげなコンサルタントが暗躍し、不正に手を染める一部委員も現れた。アスリートの間にドーピングが蔓延(まんえん)する要因でもある。

 すべてに、サマランチ氏が関与したわけではない。しかし、事態を招いたトップとしての責任は免れ得ない。

 在任中、自身の年齢に呼応しIOC委員の定年を75歳、80歳と2度引き上げた(退任後70歳に戻された)。1997年には無投票で4期目に。その翌年暮れ、米ソルトレークシティーの2002年招致スキャンダルが発覚し、自身も疑惑を指摘されるなど威信は失墜。晩節を汚し、功罪相半ばする評価のゆえんである。

 日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は71歳。サマランチ退任直後の2001年10月、八木祐四郎前会長の急逝をうけて就任、10期19年となる。

 12年に就任したIOC委員は昨年、1期4年延長された。今年6月改選のJOC会長も一部に「もう1期」の声があるが、「70歳定年」にどう決断されるか。

 おりから、招致委員会理事長を務めた20年東京大会をめぐる贈賄容疑がかかる。言葉足らずの記者会見はより疑念を深めた。長い在任が生んだ危機意識の欠如かもしれない。20年東京大会にむけて、疑惑解明を願いたい。

佐野 慎輔(さの・しんすけ)

 1954(昭和29)年生まれ、64歳。富山・高岡市出身。早大卒。スポーツ記者歴30年。五輪を5大会取材。産経新聞運動部長やシドニー支局長、サンケイスポーツ代表などを経て、2014年6月から現職。日本オリンピックアカデミーや笹川スポーツ財団の理事も務めている。

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