【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】不祥事続き…いまだに最低限の話がでてくることが情けない - SANSPO.COM(サンスポ)

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【五輪を語る 産経新聞特別記者・佐野慎輔】不祥事続き…いまだに最低限の話がでてくることが情けない

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20日に開かれた記者会見。永吉(手前)らは謝罪し、頭を下げた  この国のスポーツ界は壊れてしまったのか。

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 今度は、バスケットボールである。開催中のアジア競技大会代表4選手が買春事件を引き起こした。あろうことか、日の丸をつけた公式ウエアのまま、夜の街を徘徊(はいかい)し引き起こした不祥事に言葉もない。

 「(代表としての)自覚が足りなかった」「浮わついていた」。選手たちの言葉の軽さだけがむなしく響く。

 日本のバスケットボールは2020年東京大会に出場できるか、わからない。国際バスケットボール連盟(FIBA)が開催国枠を承認するかにかかる。どの面下げて、お願いできるのか。

 上向いてきたプロのBリーグ人気にも、影響がでかねない。

 カヌー選手の薬物混入騒動に始まり、今年ほど不祥事がスポーツ界を席巻した年はない。女子レスリングの指導者によるパワーハラスメント、反社会的勢力との関係がある会長の横暴を許してきたボクシング団体。バスケットボールも含め、これらはオリンピック公式競技である。

 公式競技ではないが、大相撲の暴力事件、大学アメリカンフットボールの悪質タックルは世間を騒然とさせた。そして居合道の昇段審査における金品授受。とても2年後にオリンピック・パラリンピックを開催する国とは思われない。

 世界からの目が注がれるなか、日本のスポーツ界はいかに身を処していくのか。

 日本がオリンピックに初参加した1912年ストックホルム大会。団長を務めた嘉納治五郎は終了をまたずに現地を離れて、ヨーロッパを歴訪。スポーツ先進国からスポーツの姿を学んだ。

 その旅の最後、パリに国際オリンピック委員会(IOC)会長のピエール・ド・クーベルタンを訪ね、ふたりでボクシングとフェンシングの試合を観戦している。

 両競技とも、ルールがなければ命をかけた私闘になりかねない。決まりごとをつくってスポーツとなり、クーベルタンはオリンピック競技に取り入れた。その教育的価値を説くクーベルタンに、柔術をもとに近代的な柔道を創りあげた嘉納が共感する。教育者でもあるふたりは、スポーツと教育の効用で意気投合した。

 あれから100年以上の時が流れる。いまだにルールや決まり事を守れという最低限の話がでてくることが情けない。

佐野 慎輔(さの・しんすけ)

 1954(昭和29)年生まれ、64歳。富山・高岡市出身。早大卒。スポーツ記者歴30年。五輪を5大会取材。産経新聞運動部長やシドニー支局長、サンケイスポーツ代表などを経て、2014年6月から現職。日本オリンピックアカデミーや笹川スポーツ財団の理事も務めている。

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