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【サンスポ×日体大】阿部一二三、妹・詩と同日“金”宣言

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阿部一二三=29日、兵庫県尼崎市のベイコム総合体育館(志儀駒貴撮影)  2020年東京五輪開幕まで、24日であと2年。出身大学別で最多62人の夏季五輪メダリストを輩出している日体大とコラボレーションした長期連載の第9回は、柔道男子66キロ級の世界王者、阿部一二三(ひふみ、20)が登場。具志堅幸司学長(61)、柔道部の山本洋祐部長(58)と対談した。東京五輪の金メダル大本命といわれるホープが、2人のメダリストの前で明かしたさらなる進化の鍵とは-。(取材構成・石井文敏)

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 具志堅学長(以下、具志堅) 「あと2年に迫った東京五輪の青写真は描けているの」

 阿部 「今年9月の世界選手権(バクー)で2連覇、来年の世界選手権(日本武道館)で3連覇できればいいと思います」

 具志堅 「世界中の人が柔道の日本代表=金メダルというイメージがある。プレッシャーはあるか」

 阿部 「プレッシャーに負けていたら五輪で優勝できない。プレッシャーを力に変えようと思っています」

 具志堅 「得意技は」

 阿部 「担ぎ技。なかでも背負い投げです。世界王者になって周りから研究されているのを感じます。課題を克服して、その上をいけるようにしたいです」

 具志堅 「本当のチャンピオンは研究されてもその上をいく。ところで学生生活はどう」

 阿部 「もう3年生なんだと思うと、早いです。(2016年の)リオデジャネイロ五輪のときは1年生で、日本代表に入ることができませんでした。この悔しさを東京五輪で晴らしたいです」

 具志堅 「練習することはイメージすること。考えない練習は練習ではない。金メダルを獲得した(1984年の)ロサンゼルス五輪で学ばせてもらったこと」

 阿部 「自分の柔道を追求していきたいと思っています」

 具志堅 「一年一年の積み重ねが大事で、前に進んでいってほしい。他の選手の模範となるような憧れるような選手になってもらいたい。では、どんな稽古に取り組んでいるの」

 阿部 「日々、課題を持って取り組んでいます。特に、立ち技からの寝技です。寝技が少し苦手なので」

 山本 「伸びる選手は自分で考えて練習する。阿部は学生のなかで突出して考えて練習する選手です」

 阿部 「寝技や逆技をひたすらかけるときもあれば、足技ばかりや組み手を重視するときもあります。減量のときは、道着の中に服を着込んで汗をかきます。考えながら練習します」

 具志堅 「いいことだ」

 阿部 「課題にしていた逆技(阿部の場合は右組みから出す左技)の感覚をつかめてきています。試合で出せるように仕上げたいです」

 具志堅 「訓練、訓練だよ。日体大には体操の白井健三選手(4年)やレスリングの樋口黎選手(助手)ら多くのメダリストが在籍する。他競技の選手との交流は」

 阿部 「多少、あります」

 具志堅 「一緒に稽古するのもいい」

 阿部 「レスリングは柔道につながる部分があると思います」

 具志堅 「(2つの競技は)似ているね」

 阿部 「寝技の部分でも役に立つと思います。以前、全日本の合宿で(総合格闘技の選手から関節技の入り方などを)体験したとき、楽しかった。(レスリング部の)練習に参加して組み合ってみたいです」

 具志堅 「(山本部長が65キロ級で銅メダルを獲得した1988年の)ソウル五輪のとき、柔道はレスリングのような動きになっていたよね」

 山本 「英語でJUDOに変わるような感じで、外国スタイルでした。一本を狙わずに、ポイントや反則(指導)を取りにいく“ジャケットレスリング”と言われていました」

 具志堅 「柔道とレスリングは類似スポーツで、発見があるかもしれない。ぜひ、日体大のレスリング道場を訪ねてください」

 阿部 「行ってみます!!」

 具志堅 「今年1月にオーストリアとドイツに約3週間の武者修行に出た、と聞いた」

 阿部 「寝技を学ぶことができました。単身での初の海外武者修行で一回りも二回りも成長できました」

 山本 「五輪2大会連続銅メダルをとった(現ドイツ代表監督の)トラウトマンに預かってもらいました。彼は十字固めが得意で、かける技術と防御する技術を教えていただいた」

 具志堅 「鬼に金棒!! 財産になったようだね。では再び単身武者修行に出るのか」

 阿部 「モンゴルは冬に山道を走るなどハードなトレーニングをやっています。厳しい環境のところでやってみたいです」

 山本 「モンゴルや韓国などのアジア圏に行って、不自由さを求めていくのが大事になると思います」

 具志堅 「便利さではなく、不自由さを求めていく!? いい言葉だね」

 山本 「東京五輪はわれわれが経験した五輪とは異なるほど、日本中が注目する大会になると思います。本来の力が出せれば間違いなく金メダルを取れると思います。平常心を忘れずに頑張ってもらいたいです」

 具志堅 「(来春、日体大に入学予定の妹で52キロ級世界選手権代表、詩との)きょうだい優勝は」

 阿部 「もちろん目指していますが、まずは自分のことが大事。それぞれ東京五輪で優勝したいという気持ちがあれば、きょうだい優勝になっているのかなと思います」

 山本 「(通例では男子66キロ級と女子52キロ級は試合が)同じ日に行われます。2020年7月26日」

 具志堅 「日本中が阿部きょうだいの金メダルに沸く日だね」

 山本 「(今年の)世界選手権も同じ日(9月21日)にあります」

 具志堅 「予行演習、予行演習」

 阿部 「去年の世界選手権(ブダペスト)は6試合中1試合だけ、技ありの優勢勝ちでした」

 具志堅 「東京五輪開幕1000日前(昨年10月28日)に、オール一本勝ちの目標を立てた」

 阿部 「去年(オール一本勝ちを)できなかった。一年一年、自分の目標を達成して、東京五輪でオール一本勝ちで優勝したい。自分の柔道をしっかりやればできると思います」

★阿部のライバルは

 世界ランク1位の阿部は優勝した昨年の世界選手権後、「東京五輪に向けてライバルになりそうな選手は4、5人」と分析。同大会銅メダルで、同2位のバジャ・マルグベラシビリ(24)=ジョージア=や世界選手権3度の銀メダルを獲得し、同8位のミハイル・プリャエフ(31)=ロシア=らが金メダルのライバルになる。

具志堅 幸司(ぐしけん・こうじ)

 1956(昭和31)年11月12日生まれ、61歳。大阪市出身。13歳の時に68年メキシコ五輪の加藤沢男の演技を見て憧れ、体操を始める。大阪・清風高から日体大に進学。研究生時代の84年にロサンゼルス五輪に出場し、個人総合とつり輪で金、跳馬で銀、団体総合と鉄棒で銅を獲得。2005年に紫綬褒章受章。現在は日体大学長。日本体操協会副会長。

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