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【デキる選手の育て方2015】伊藤美誠母・美乃りさん、小さい頃から教えたお金は人生の切符!

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【デキる選手の育て方2015】伊藤美誠母・美乃りさん、小さい頃から教えたお金は人生の切符!

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0歳で早くもラケットをがぶり。天才少女の片りんを見せた(提供写真)  一流スポーツ選手を育てた親や指導者が育成の極意を明かす、オフ恒例の『デキる選手の育て方2015』。第2回は卓球の伊藤美誠(みま、15)=スターツ=です。来年リオデジャネイロ五輪の女子団体メンバーに選出され、出場が決まれば、同競技では2004年アテネ五輪に15歳9カ月で出場した福原愛に並ぶ最年少出場に。そんな天才少女のルーツに迫ります。 (取材・構成=新里公章)

(1)娘が初めてラケット握った日、驚きの返球…引退決めた母

 リオ五輪の女子団体に選出された伊藤。2020年東京五輪も20歳で迎える逸材は、卓球選手だった母・美乃りさんの競技姿を見て育ち、自然とラケットを握った。まだ2歳のときだった。

 「娘が始めると言い出して、うれしかった反面、本当にやるのかなって。でも自分で言い出したし、それは大事なことなので。すぐラケットを買いに行ったら、美誠はすごく喜んで、自分で名前を書いていました」

 そのころ、美乃りさんは代表入りを狙って毎日練習をこなし、週3回は試合に出場していた。しかし、娘が初めてラケットを握ったその日に、引退を決断した。

 「自分の練習もあったし、終わったらちょっとどいてね、ってくらいだったんですが、ボールを出したらラケットを引いて、(勢いを)吸収してから、こすりながら返してきたんですよ。普通は(最初は)ラケットにボールが当たらないですよ。それが台にちゃんと返してくる。あれ? って感じた瞬間に、考えが変わった。こんなことしている場合じゃない。教えよう、と」。天才少女の“誕生”は、それほど衝撃的だった。

 伊藤が卓球の道へ進むことは、必然だったのかもしれない。母は娘がおなかの中にいるときから筒を自作し、卓球の試合をお腹に向けて実況中継するという伊藤家オリジナルの胎教で“英才教育”を施してきたからだ。

 「うるさいのか、ボコボコ蹴っていましたね(笑)。生まれてから、ミルクあげているときにも、映像をみながら解説したりとか。でも、そのうち意見するようになってきました」

 類い稀な伊藤の才能は母の競技への情熱によって育まれた。

(2)『勝ったらジュース2本』勝負好き、娘の“戦利品”に母は平身低頭

 卓球を始めた頃、横浜市内の公民館は練習時間が限られていた。そこで母は一大決心をする。

 「磐田のほうに自宅を建てました。4歳くらいから毎日、磐田の自宅で練習をやることになったんです」

 平日は4時間以上、休日は6時間以上の練習がノルマ。さらに小学校高学年になった伊藤のさらなる飛躍へ、母はある“強化策”を検討する。

 「賞金表というのを作りました。子供のうちからお金お金ってどうかな、と思う方もいると思いますが、プロとしてやっていく以上、お金って汚いものじゃなくて、大事だと思います。よく『人生の切符だよ』っていうんです。自分でしっかり管理して、どこどこに行くには、どのくらいの切符が必要だよって。わからないうちはアドバイスもしますが、しっかりと人生の資金運用というのは、小さい頃から教えていました」

 “にんじん作戦”は当たった。賞金表を初導入した中学1年時の世界ジュニア国内予選で優勝。「わかりやすいと思いました」と母は笑う。勝負好きな性格との相性は、抜群だった。

 「練習所にいって、大人の選手から『お前さん、試合するか』っていわれると、『ただじゃやらないよ。勝ったらジュース2本ね』とかいって、自分を奮い立たせる何かを先に提示していましたね。そうすると、相手も本気になる。ただ試合をするのが好きじゃなかったですね」

 伊藤にとって“なめられない”ことが最重要。すでに大人顔負けに強く、手を抜かれては練習にならなかったからだ。あえて相手のモチベーションを上げた。それでも天才少女は強かった。リュックサックにどっさり“戦利品”を入れて帰ってくる度、美乃りさんは謝りに行くハメになったという。

(3)中学校は月3日しか通えず「どう人間教育するかが課題」

 伊藤は中学進学を機に大阪市内で生活を始め、「関西卓球アカデミー」、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)、海外開催の試合出場と、多忙な日々を過ごす。

 リオ、そして東京へ続く道を歩む娘について、母は「時と場合の伝え方はあると思いますが、おかしいことはおかしいといえる選手になってほしい」と話す。

 十人十色の卓球の世界だ。“型”にはまらず、勝利を重ねるために選んだ現在の進路に、その思いは表れている。

 トレセンでの練習はもちろん、次戦を見据えたタイプの練習相手を探して依頼したり、大学に“出稽古”に出たり…。

 「自分たちのリズムで動けるというか、美誠のペースでやらせていただいています」。今、最も必要と思える練習を行う環境が成長を助けてきた。だからこそ、これからも勝利につながると信じる道を歩んでほしい-。

 多感な時期を卓球にささげてきただけに、人間教育についても母は強い思いを持つ。

 「小さいころから海外の試合に出ている。中学校に通っていれば、すごくたくさんのことを学びますが、現在は(多忙で)月3日しか通えない。その中でどう人間教育をしていくかが、すごく大きな課題です」

 競技面だけでなく、精神面でも娘をサポートするため、日本体育協会認定の上級指導員や公認コーチの資格、さらに整体師の免許も取得した。「娘のまわりのいろんなスタッフさんと共通認識をしておきたい。なにかあったときに娘のサポートをすぐできるように」と力を込めた。

 現在は代表スタッフも務めつつ、ナショナルチームの監督レベルである上級コーチの資格取得に向けて猛勉強中。“特命コーチ”が隣にいる限り、世界と戦う15歳に怖いものはないはずだ。

★串焼き、するめ おつまみ大好物

 美乃りさんは日々マッサージや食事面で伊藤をサポートしている。そんな母が明かす天才少女の意外な大好物とは? 「今は串焼きにハマっています。おつまみみたいなのが大好きで、合宿のときに差し入れするのは北海道産の帆立の貝柱とか。北海道展をやっていたというと、するめとか、いかのげそとかを…」。15歳にして、食の趣味は渋い!?

伊藤 美誠(いとう・みま)

 2000(平成12)年10月21日生まれ、15歳。静岡県出身。2歳から卓球を始める。11年の全日本選手権一般の部で、福原愛が持っていた史上最年少勝利記録を更新。昨年は平野美宇との女子ダブルスでドイツ・オープンをワールドツアー史上最年少で制し、今年の同大会のシングルスでは、ツアー史上最年少優勝記録も更新した。世界ランク11位。スターツ所属。1メートル53。

伊藤 美乃り(いとう・みのり)

 1975(昭和50)年12月17日生まれ。39歳。静岡・磐田市出身。中1年時から卓球を始め、競技歴は約10年。日本体育協会認定の上級指導員、公認コーチの資格、ほかに整体師の免許を取得済み。現在、卓球女子日本代表のコーチを務める。

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