酒井宏がフランスで学んだ守備スタイル もがき続ける昌子に送る金言とは? - SANSPO.COM(サンスポ)

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酒井宏がフランスで学んだ守備スタイル もがき続ける昌子に送る金言とは?

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酒井宏がフランスで学んだ守備スタイル もがき続ける昌子に送る金言とは?  リーグ・アン第29節のパリサンジェルマン(PSG)対マルセイユ戦は、PSGが3-1で勝利した。

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 今月6日、チャンピオンズリーグでマンチェスターUに劇的な逆転負けを喫してラウンド16で敗退したPSGにとって、この『フレンチ・クラシコ』は、何がなんでも勝たねばならない一戦だった。

 一方、ここまで6試合無敗をキープしていたマルセイユにとっては痛恨の黒星。

 しかもこの日のパリは、まだCLの後遺症を引きずっているのか全開ではなく、リズムも良くなかっただけに、3失点は残念な結果だ。先発フル出場したDF酒井宏樹も「悔しいです」と一言述べ、こう続けた。

 「今日は相手のクオリティは決して高くなく、自分たちがやれる時間帯も多かったので。でも、試合を決めるしたたかさ、というのはまだまだ差があるな、と」

 前半アディショナルタイムにキリアン・ムバッペが決めた先制点は、マルセイユのCKからのカウンターだった。

 激走した酒井はムバッペに追いつき、スライディングは間に合った。しかしボールは酒井が伸ばした足の下を抜けた。

 「ふかすかな、と思ったんですけど…。でもあそこはあの場面まで持ってこられたことを反省すべきですし、映像で見るとファウルで止められる場面が(それまでに)4、5箇所あったので、そこに関して監督はすごく怒っていました。ペナルティエリアの近くまで来てからファウルしてもたぶん遅いですし、あのクオリティの2トップの2人(ムバッペ&ディ・マリア)だとシュートまで持っていかれてしまうので、もっと上にいくには、そこを修正しないと…」

 後半に入った65分にアンヘル・ディ・マリアに決められたシーンについても、「本当にアクシデントなので、あそこまで悔しい失点はないです」と見るからに悔しさをにじませた。

 「もちろん相手がうまいというのは間違いないです。抜けた場面も、あそこでしっかりシュートまでもっていって枠(内)まで、というのはさすがワールドクラス。ただ僕らが整っていた状態で抜かれたというよりは、置いて行かれた場面だったので、悔しいですね。崩されたというより、抜かれた、という感じだったので」

 マルセイユはその後、GKスティーブ・マンダンダがエリア外で手を使って一発退場となり、やむなくマリオ・バロテッリを下げることに。代わって登場した松井大輔のル・マン時代の同僚、ヨアン・プレは、ゴールマウスに立って最初に受けたディ・マリアのFKを、直接ゴールに入れられるという手痛い歓迎を受けた。

 ■PSGの強みとは…

 PSGがリーグ・アン最強軍団たるゆえんを酒井は、「したたかで、勝利をつかむ術を知っている選手が多いこと」だと説明する。

 「どの状況においても勝つルートを知っているというか、試合中にどんどん起こる状況変化に応じてそういう(勝つための)判断ができる選手たちが多い。しかもそれを(チーム全員で)共有できている」

 「ディ・マリアはいつも効果的な動きをします。いつも思うのは、ムバッペより、ディ・マリア、(エディンソン)カバーニが一番したたかですね。サッカーを知っているというか、試合を決められる2人なので。彼らは劣勢になっても点をとる術を知っている」

 ゆえに「そこを止められなかったのは悔しい」と酒井は繰り返す。

 ただ、酒井自身、「今日はビルドアップや一対一の場面はそれほど苦ではなかった」と話したように、デュエルでやり負かされることもなく、ムバッペのカウンターの場面も、むしろ彼ただ一人、よくスライディングできるところまで追いついた。

 ■酒井がフランスで学んだこと

 この試合に限らず、フランスリーグ3年目を迎えた酒井には、相手のプレッシングがどのあたりまで迫ってきたらボールをリリースするか、ボールを持っている相手にはどのようなタイミングと距離で寄せていくか、といった対人プレーを、すでに体の感覚で身につけているという印象を受ける。

 その感覚を酒井は、「マルセイユに来て学んだ」という。酒井は日頃から、「同じサッカーでも、国が変わると質はまったく違う。競技が同じであるというだけ」と話すが、フランスのアタッカーと対戦する上で、日本にいた頃と一番違いを感じるのは、『先手か後手かの差』だという。

 「こちらのストライカーは、相手の重心を最後まで見ている気がします。こちらから派手にアクションを起こしてしまうと、それを狙ってかわしてきたり、ある程度行きたいスペースをあらかじめ開けておいて、逆の方向にドリブルしておきながら一気にドーンといく、というような」

 マッチアップしたときの、時間にしたらほんの1秒あるかないかの攻防戦では、そんな駆け引きが行なわれているのだ。

 「逆にそういったことを考えていない選手のほうが、僕は抜かれやすいです。駆け引きができないので。無理に突っ込んでくるタイプのほうが、ガチャガチャとなって、抜かれて、とかが結構あります」

 勝負は、自分の対戦相手にボールが入る前に始まっている、とも。

 「基本的に相手に前を向かせたら負けなので、自分の対戦相手にボールが入る前に優勢を保てるか、劣勢になってしまうか、そこがうまくできるか。アフリカ系の選手相手に前を向かれてヨーイドンで勝てるわけがないですし、僕は1年目にそれですごくやられたので、相手の情報やビデオを試合前にかなり見ています。右利き、左利きとか、オフザボールの動き、質などを常に見ていて、あまりオフザボールの動きが得意じゃない相手には、なるべく近くにいたりして」

 基本的な身体能力の部分では、日本人はそうした選手たちとは対極の部類に入る。その彼らとやりあうには、入念に準備して、考えることだと酒井は話す。

 「こちらは周りに日本人がいないこともあって、自分のプレーに関して見つめ直す時間が日本にいるときよりたぶん多いと思うんです。それはすごく大事なことで、次にやるために何をしようとか、サッカーをするための生活になってくる。源(昌子)も考えていると思います」

 ■「やられないと成長はない」

 1月にトゥールーズに加わった昌子も、目下、フランスリーグのトレードマークとも言うべきフィジカル勝負を攻略すべく、もがいている状況にある。

 入団後、公式戦8試合に出場して「感触をつかみかけてきた」という思いで挑んだリヨン戦で5失点を浴び、天国から地獄へ突き落とされたような思いも味わった。

 「僕も1年目は全然アダプト(適応)できなかったですし、するまで時間がかかったので、源にはそうなってほしくなかったからリヨン戦の後も話しました。彼のプレーを見ても、すでにできる部分はかなり多いと感じます。あとは、ディフェンダーに前を向かせたりとか、相手をちょっとでもなめた瞬間にやられてしまうので、常に研究してやってほしいなと思います」

 「でも、やられないと成長はないですから、良い経験だと思います。僕らサッカー選手としては、負けることは許されない。勝たないと意味がないので、自分はやられても、チームは勝って、なおかつ(自分の)課題が見つかれば、それが一番良い試合だと思います。逆にパーフェクトな試合ほど、怖いものはないです。(成長するには)修正、修正、修正、なので」

 あとはやはり、コミュニケーションだ。

 ディフェンスは連携が不可欠。プレスにいくにも、スライディングを仕掛けるにも、仲間がカバーリングに入ってくれるという信頼がなくては思い切ってやることはできない。

 「コミュニケーション能力は非常に大事だと思います。(それも含めた)すべてにおいて、源には間違いなく良い経験だと思います。こういうリーグで経験を積んだセンターバックが日本にいるというのはすごく良いことですし、マヤ君(吉田麻也)もそうですし、トミ(冨安健洋)もそうですし。ベルギーもすごいと思います。アフリカ系の選手相手にバチバチにやっているのは非常に良いと思います。日本が間違いなく弱点としているところなので、そこを少しでも補えれば」

 「(W杯でも)ベルギーには身体能力の差で負けたので、そういうことが二度と起きないようにしないといけない」

 アジアカップに出場した酒井は、3月の代表戦には帯同せず、マルセイユに残る。

 ここでリフレッシュして、シーズン最後の2か月、ラストスパートに突入する。(Goal.com)

 取材・文=小川由紀子

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