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【科学特捜隊】横浜FC・カズ丸裸!51歳のキングな肉体

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2011年、44歳のカズ。腹筋はハートマークに見える? 51歳の今も衰え知らずの肉体を誇る  科学的なアプローチでスポーツに斬り込むサンケイスポーツ東京発刊55周年企画「科学特捜隊」の第21回は51歳の現役サッカー選手、「キングカズ」ことJ2横浜FCの元日本代表FW三浦知良を特集する。体脂肪率や短中距離走のタイムなど、カズの身体&運動能力データをJリーグのフィジカルコーチが分析。現役を続けられる秘密が明らかになった。 (取材構成・宇賀神隆)

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 世の中の51歳男性といえば、腹は出るわ、足腰が痛くなるわ…。それなのに、どうしてカズは今でもピッチを駆け回れるのか。本人を直撃すると「これだけ(練習を)やっているんだから身体の数値はいいと思うよ」。企業秘密であるはずの運動能力データを、快く教えてくれた。

 カズは身長1メートル76・5、体重71・5キロ。体脂肪率は9・2%で、サッカー選手の平均値を維持している。ちなみに、日本人男性の50歳の体脂肪標準値は約20%。カズをよく知るJ2甲府の谷真一郎フィジカルコーチ(49)にこれを見てもらった。すると2008年から2年間、横浜FCで直接、カズを指導した同コーチの口から聞き慣れない単語が出てきた。

 「LBMが1年間、ほとんど変らない選手はカズさんだけだった。動きやすい体重をキープしていた。自己管理ができていたんですね」

 LBMとは「Lean Body Mass」の略。日本語に置き換えると「除脂肪体重」。体重から脂肪量を除いた重さのことで、筋肉量の目安になる。カズはこの数値が年間を通し、64キロ前後で推移していたという。

 トレーニングによって体脂肪を落としつつ、筋肉量を大きくすれば、運動能力は向上する。ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(33)=ユベントス=はプロ入りから10年でLBMを10キロ増やし、筋肉の鎧を身につけた。ただしシーズン中は、LBMを一定に保つことがコンディション維持の指標になっている。実はこれが難しく、夏場は暑さによる消耗、食欲減退によって数値が下がる選手が多い。

 シーズン中、カズはアルコールに一切口をつけない。食事は筋肉量を増やすため「高タンパク低脂肪」を心掛ける。食べる前に栄養士にメニューの写真をメールで送付し、可否を確認することもある。好物の唐揚げは臭いをかぐだけで、油は徹底して排除。霜降り肉は食べず、ドレッシングも使わない。午後9-10時には就寝する。ストイックなまでに規則正しい生活で、LBMの変動を最小限に留めている。

 しかし、人間の筋肉量は20代をピークに50代から急激に減少するとされる。とくにサッカー選手の商売道具である脚の筋肉で顕著に表われるという。カズは50メートル走7秒0、1000メートル走3分30秒、1500メートル5分30秒、12分間走3200メートル。このデータをあるチームのフィジカルコーチに見せてみた。カズの名前は伏せて…。

 「持久力のある選手。中盤の選手かなという感じです」

 そう答えたのは、連覇に向けてJ1首位を走る川崎の篠田洋介コーチ(47)。「ウチの選手も1000メートル3分20秒、1500メートル5分20秒くらいですかね」。川崎の全選手の平均値とほぼ同じというのだ。カズのデータと伝えると、「えっ、伸びしろのある20代の選手かと思いましたよ」と目を丸くした。

 努力のたまものだ。カズはシーズンオフも体をいじめ抜く。年末年始のグアムでの自主トレーニングは14年目を迎え、昨年12月は16日間、今年1月は13日間、朝5時過ぎに起床し、一日3部練習で走り込みや筋力トレに励んだ。自然の摂理に逆らうために、ここまでやっている。

 今季のカズは公式戦のベンチに入るも出番に恵まれず、出場8試合にとどまり得点なし。それでも「とにかく試合に出られるように頑張るよ」と前を向く。陰の努力に加え、このメンタルの強さ。51歳でピッチに立てる理由が分かった。

 フランス1部など欧州で活躍し、2010年W杯南アフリカ大会に出場した横浜FCの元日本代表MF松井大輔(37)は、14歳上のカズを「お手本」と慕う。

 「自分だったら腐っているかもね。でもカズさんは、誰よりも早く練習場に来て、誰よりも最後まで練習場に残る。それは今でもルーティンになっている」

 00年にプロ入りした松井は、憧れのカズが所属していたJ1京都(現在J2)を選択し、今季から再び同僚になった。出番に恵まれなくても、カズのひたむきな姿勢は30代の当時と変わらなかった。チームに役立てることは何かを考え、試合前にはタバレス監督(61)に助言することを恐れない。「内容は言えないけれど、それが的を射ているんだよね」と松井は明かす。

 「サッカーへのモチベーションは何ですか?」と松井は聞いたことがある。カズの答えは「サッカーをやりたいし、試合に出たいから」。松井は思った。「この人は小学生の頃から変わっていないんだな」と。永遠のサッカー少年。それがカズの真実かもしれない。

★香川ら海外組を中心に「カズ会」、店選びも支払いもキングにお任せ

 “カズ魂”は日本代表に継承されている。MF長谷部(フランクフルト)、MF香川(ドルトムント)ら海外組を中心に「カズ会」と呼ばれる食事会を2011年から開催。店選びも支払いもカズが行う。後輩に敬語を使い、話題は競技から女性の話にも及ぶ。今回の代表に招集されたDF長友とは「連絡は取ったよ、よろしく言っておいて」とカズ。最後の代表招集は00年12月20日の韓国戦だが、心では共に戦っている。

 体重から脂肪量を引いたもので、筋肉、骨、内臓、水分の総重量。英語の「Lean Body Mass」の略で、日本語に言い換えると除脂肪体重。階級制競技では体重当たりの筋肉の多さがパフォーマンスに有利に働くため、LBMは体重管理の指標となる。肥満の者はLBMを落とさず体重を減らすと、健康的にやせられる。計算式は体重-(体重×体脂肪率÷100)。体重71.5キロ、体脂肪率9.2%のカズのLBMは71.5-(71.5×0.092)=64.922キロ。

三浦 知良(みうら・かずよし)

 1967(昭和42)年2月26日生まれ、51歳。静岡市出身。82年に静岡学園高を中退し、ブラジルへ単身渡航。サントス(ブラジル)、V川崎、ジェノア(イタリア)、ザグレブ(クロアチア)、J1京都、J1神戸などを経て2005年にJ2横浜FC入団。Jリーグ元年の93年MVP、96年得点王。今季J2戦8試合0得点。A代表通算89試合55得点。1メートル76・5、71・5キロ。

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