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【佐藤春佳のスポーツブレーク】長友の“原点”は突き抜けた情熱

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取材対応に向かう長友=ロシア・カザン(撮影・甘利慈)  ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦(2日=日本時間3日、日本2-3ベルギー、ロストフナドヌー)後半49分、稲妻のような『赤い悪魔』のカウンターで、サッカー日本代表のW杯は終わった。6月19日から2週間、低い前評判を覆してのベスト16進出。開幕前に「今回は駄目でしょ」と冷めていたその口も、勝ち出せば歓喜を叫び最後は「感動をありがとう」となる。なんともゲンキンだが、それもスポーツの醍醐(だいご)味のひと匙(さじ)だろうか。

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 試合後のインタビューで「できることは全てやった。悔しいけど笑顔で胸張って帰る」と話したDF長友佑都の姿が胸に残った。大会前に金髪に染めた髪は根元が少し、黒くなっている。直前の監督交代など揺れる輪の中心で、彼なりのポジティブな方法でチームに心を砕いてきたのだろう。

 サッカー担当だった2011年、代表選手の故郷を旅して“原点”を取材するという連載を担った。長友の故郷・愛媛県西条市で訪ねた“原点”は、閉店したゲームセンター「セイタイトー西条店」の跡地だった。

 愛媛FC下部組織のセレクションに落ちた長友が進んだ西条北中のサッカー部は当時、“ヤンキーのたまり場”状態。引きずられるように横道にそれた長友を変えたのが同時期に赴任した井上博監督(当時)だった。青春ドラマさながら、練習をサボれば町中を探し“強制連行”。ゲームセンターでダベっていた長友の頬を張り、目を覚まさせた。

 改心した長友は180度変わった。練習をサボる部員の家を自ら回って説得し、ビデオや本で研究して練習メニューも考えた。「最終的には佑都がカリスマになって、みんなを引っ張っていった」と井上監督。同級生たちは部活ノートに「本気でやらんと佑都に殺されそうじゃ」と書いていたと聞いた。

 祭りの後-。戦前の見方を爽快に裏切った躍進の主役たちが口にした、仲間へのエモーショナルな思いが印象的だった。時代や気質が変わっても、スポーツの大舞台で何かを残せる人が持っているのは、突き抜けた情熱。お茶の間の批評家が逆立ちしても持ち得ない、底知れぬエネルギーなのだろう。31歳の金髪頭に、そんなことを思った。

佐藤 春佳(さとう・はるか)

 サッカー、アマチュアスポーツ担当として2004年アテネ五輪、10年バンクーバー冬季五輪を取材。プロ野球は05-07年に巨人を担当し、13-15年はヤクルト担当キャップ。趣味は宝塚観劇。今年は野球遊軍。

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