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【科学特捜隊】日本代表の戦い方、ハリル流「速攻」から西野流「遅攻」へ

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大島僚太  科学的なアプローチでスポーツに斬り込むサンケイスポーツ東京発刊55周年企画「科学特捜隊」の第8回は、サッカー日本代表の戦い方に迫る。速攻を展開したバヒド・ハリルホジッチ前監督(66)に対し、パスをつなぐ“遅攻”が西野朗監督(63)のスタイルだ。高いパス成功率を誇るMF大島僚太(25)=川崎=が、W杯ロシア大会での躍進の鍵を握る。(取材構成・鈴木智紘)

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 じっくりとパスをつなぐのが西野流だ。縦に速い攻撃を仕掛けたかつてのハリルホジッチ(以下、ハリル)流とは異なり、手数をかけてゴールを狙う。

 西野監督の初陣となった5月末のガーナ戦とハリル監督最後の海外遠征となった3月末のマリ戦。W杯で対戦するセネガルを想定したアフリカ勢との2試合を比較すると戦い方の違いが浮き彫りとなる。

 1プレー1プレーを詳細に分析する「データスタジアム社」によると、西野体制ではパスの総数は577本で、520本だったハリル体制から57本増えた。ボールを奪ってからシュートまでの平均時間は23・2秒で、13・4秒から大幅増。速攻のハリル・ジャパンとは対照的に“遅攻”の西野ジャパンといえる。

 30メートル以上のロングパスの比率は西野体制では7・6%だが、ときに中盤を省き前線にボールを送ったハリル体制では11%。その分、15メートル未満のショートパスが57・9%から59・1%に増えた。

 そんなパスサッカーの象徴がMF大島だ。フル出場したガーナ戦ではパス総数77本のうち73本を通し、成功率94・8%はチームトップ。同社アナリストの滝川有伸氏(39)は「かなり高い確率」とみる。特に、シュートにつながる3本前までに限ればパスを6度通してチャンスメーク。DF長友の8度に次ぎチームで2番だった。

 1メートル68の小柄なボランチのパスセンスを買う西野監督は試合後、「センターで大島がボールを動かしていた」。データと照らし合わせても、25歳の若きMFがチームの屋台骨といえそうだ。

 一方で強敵相手ではパスサッカーは鳴りを潜めた。8日(日本時間9日未明)のスイス戦。国際連盟(FIFA)ランキング6位の強豪に圧倒され、チームのパス総数は402本にとどまった。だが、先発した大島が成功率87・2%のパスを散らし、リズムを生む場面もあった。

 「中盤でポゼッションを取らないといけない。センターでボールを保持できればサイド攻撃も増える」と指揮官。あくまで中盤でボールをキープし、展開する攻めが理想だ。幾度となく世界の壁にはね返されてきたパスサッカー。“精密機械”の司令塔を柱に原点回帰で勝機を探る。

★「1列前」の長友が攻撃にアクセント

 DF長友がもう一人のキーマンとなる。西野ジャパンがガーナ戦で試した3-6-1の新布陣では左ウイングバックに入った。4バックでの定位置である左サイドバックから1列前となったプレーエリアで持ち前の攻撃力を発揮。ピッチを24分割した場合、左サイドの敵陣深くやペナルティーエリアでのプレー機会が格段に増し、攻撃にアクセントを加えた。

★敵陣深くでプレー

 ガーナ戦ではマリ戦に比べ、ペナルティーエリアを含め敵陣深くでのプレーが目立った長友(=24分割にしたピッチの1区分ごとの%はボールにファーストタッチした割合)。従来の左サイドバックより1列前の左ウイングバックに入った成果で、より攻撃に関わったことが顕著に現れた。

★マリ戦VTR

 「仮想セネガル」と位置づけて3月23日にベルギー遠征で対戦。前半44分にPKから先制を許し、試合終了間際にFW中島の同点弾でなんとか引き分けた。先発したMF大島は前半途中で負傷交代。W杯出場を逃した平均年齢22.8歳の若いチームに凡戦を演じた。

★ガーナ戦VTR

 W杯前の国内最終戦として5月30日に対戦。前半8分にFK、後半6分にPKから失点し、0-2で敗れた。3-6-1の新システムで臨み、特徴であるDF長友とMF原口の両翼が好機を演出したが、決定力を欠いた。試合後はブーイングが巻き起こった。

データスタジアム株式会社

 2001年4月設立。本社所在地は東京都港区赤坂6-2-4 S-GATE赤坂。代表者・加藤善彦。従業員数100人。プロ野球、Jリーグ、ラグビーなどのデータを取得、蓄積、分析。スポーツ団体や選手などをサポートする一方、メディアやファン向けのエンターテインメントコンテンツを提供している。

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