【ラグビーコラム】W杯日本代表の躍進を戦術面からひも解く 大体大前HC井上氏が出版 - SANSPO.COM(サンスポ)

【ラグビーコラム】W杯日本代表の躍進を戦術面からひも解く 大体大前HC井上氏が出版

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「これまでになかったラグビー戦術の教科書」を出版した井上正幸氏  【ノーサイドの精神】大体大ラグビー部の前ヘッドコーチで、豪州コーチング資格レベル2を持つ井上正幸氏(45)がこの春、「これまでになかったラグビー戦術の教科書」(株式会社カンゼン発行)を出版した。「『ポッド』や『シェイプ』といったラグビーの戦術について書かれているものがなく、その理論を体系化して出したいという思いがありました」と競技力や観戦力の向上を目的に、同氏が10年前からブログなどに書きためてきた文章を整理し、まとめた一冊だ。

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 戦術やその変遷などの解説のほか、第4章では、昨年のW杯日本大会での各チームの戦い方、勝負を分けたポイントなどを分析している。

 詳細は本を読んでいただきたいが、一例では、史上初のベスト8進出を果たし、その要因として「世界一の練習量」という部分が注目されることが多かった日本代表について「世界一と言っても過言でない『戦術を使った駆け引き』があった」と指摘する。

 簡単に言うと、世界ランク2位(当時)のアイルランド戦では、タッチラインから「1(人)322」の塊で並べていたFW8人の配置を連続攻撃の最中、意図的に「2321」などに可変し、相手の防御を混乱させた。

 スコットランド戦では、ボールを大きく動かすとポジショニングが遅れる相手の防御を片側に集め、一気に逆サイドを攻め、突破を図った。

 準々決勝の相手の南アフリカは防御のラインスピードが速い。そのため、キックパスで防御の外側を狙ったり、FWを「狭く深く」3カ所に配置し、防御の重圧が届かないところでパスをつないで対抗。前半はうまくいったが、後半はスクラムやモールで圧倒された上、攻撃の「意思決定者」であるSO田村優(キヤノン)を負傷交代で失い、苦境を打破できなかった-ということなど。

 私は高校でラグビーを始め、大学、クラブチームとプレーを続けたが、ポジションはほぼPRで、スクラムについて熱く語れる一方、少し込み入った戦術の話となると、苦笑いを浮かべ、頭をかくしかないことも。

 ラグビーというスポーツは「気合」や「根性」といった情緒的な面にスポットが当たることが多いように思うし、それも魅力の一つだろうが、戦術面ついてももっと勉強しなければと反省しながら、おもしろく読ませてもらった。(月僧正弥)

井上正幸(いのうえ・まさゆき)

 1975(昭和50)年4月2日生まれ、45歳。大阪府出身。中学1年からラグビーを始め、大東高を経て大体大。ポジションはSO。卒業後は会社員の傍ら兵庫医大、京都成章高などでコーチを務め、2017年から3年間、大体大ヘッドコーチ。著書に「ラグビー3カ月でうまくなる基本スキル」(学研)。

月僧正弥(げっそう・まさや)

 1991年4月、産経新聞入社。姫路支局から大阪本社社会部、運動部、阪神支局・神戸総局デスク、法務室などを経て2018年から大阪サンケイスポーツ。社会部時代に大阪府警本部、裁判担当として和歌山毒物カレー事件や大教大付属池田小児童殺傷事件、運動部時代にトリノ冬季五輪などを取材。ラグビー歴37年の52歳。

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